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山田洋次監督の映画「ダウンタウンヒーローズ」感想


ダウンタウンヒーローズ」をDVDで、初めて鑑賞しました。

自宅の近所に巨大なTSUTATAがあります。以前は、私がビックリしたほど「日本の名作映画コーナー」が充実していて、「日本映画の伝統はこうして語り継がれているのか」と頼もしい気持ちになったものです。

ところが、最近になって、「名作映画のコーナー」は縮小化が進められ、いつか無くなってしまうのではないかと心配になるほどです。

明治維新後、日本人が作った文化的作品の中から映画を除外したら、ほとんど残らないと思えるほど、日本映画には傑作が多いのです。だから、どんなことがあっても、名作映画だけは語り継ぎ、国は新人監督を育てる努力をしなければいけないと思うのですが、そういう流れには、どうやらならないみたいですね。

レンタル店の片隅に追いやられた「日本の名作映画コーナー」のさらに目立たないところに「ダウンタウンヒーローズ」は置かれていました。

以前は、山田洋次監督の独立したコーナーがありまして、そこにはほぼ全作品が揃えられていたものでした。でも今は、寅さんシリーズを除くと、5作品程度しか残っておりません。インターネットレンタルの方にまわされてしまったのでしょうか?

なかなか本題に入れませんが(苦笑)、この「ダウンタウンヒーローズ」。一言で申しますと、ぜひ見ておきたいB級作品です。

「ダウンタウンヒーローズ」は1988年の松竹映画です。ここに描かれている若者たちは余計なものを何も持っていません。この映画に登場する薬師丸ひろ子柳葉敏郎らが持っているものは、「若さ」と信じがたいほどの「純情」だけです。

ふと思ったのは、この映画に感情移入できない人も多いかもしれないこと。解説付きでないと理解できないということになると、エンタメ映画として機能しなくなることなのですが……。

1988年当時では解説なしで通じたことが、2012年では、特に10代~20代の人たちとの間では、接点が失われ、対話不能の映画になってしまっているかもしれないと心配にもなりました。いえ、それは単なる杞憂でしょう。この作品は時代を超えて語りかけてくる力を持っていると信じたい。

「ダウンタウンヒーローズ」で躍動する若者たちは、ただひたすら貧しく、便利なものは何一つ持っていません。しかし、2012年にいる私たちからすると、理屈抜きに「うらやましい」と感じざるをえません。

この映画を見て楽しんでいる間は「息苦しい日常から解放」されます。長いこと忘れていた「伸びやかな気分」が取り戻せます。

「何も持っていないことが、これほど幸せなこととは」、そうしみじみ感じ入りました。持っていない状態になるためには、今持っている物を、捨てれば良いのですよね。

マスコミが流す情報のほとんどは不必要ですし、スマートフォンも無理やり持たされている人たちが多い気がします。

物への執着心を捨てことを意味する「断捨離」という言葉を時々目にします。「捨てることは」静かなブームでもあるのかもしれません。

捨てることで、息苦しさから解放されるならば、捨てる方を選ぶ人も多いかもしれません。「ダウンタウンヒーローズ」の中にある「開放感」は郷愁などという生やさしいものではなく、2012年を生きる人にとっては「悲願」ではないでしょうか。

ダウンタウンヒーローズ」は、TSUTAYAに返す前に、もう一度、観てみたいと思います。

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