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宇多田ヒカルの藤圭子に関するコメントを読んで


ここ数日間、ネット新聞を読む度に目に飛び込んでくるのが、藤圭子(62)の自殺に関する記事です。

藤圭子のことを想うだけで、気が滅入ってしかたがない。もちろん、ブログに何か書こうとは思いもしなかったのですが、何か書かないことには、この鬱々とした気分から逃れられない気がして……こうして、キーボードを叩き始めているのです。

藤圭子が飛び降り自殺したのは、6月22日。娘の宇多田ヒカル(30)が藤圭子に関するコメントを出したのが、6月26日です。

そのコメントの一部を、nikkansports.comから引用してみます。

誤解されることの多い彼女でしたが… とても怖がりのくせに鼻っ柱が強く、正義感にあふれ、笑うことが大好きで、頭の回転が早くて、子供のように衝動的で危うく、おっちょこちょいで放っておけない、誰よりもかわいらしい人でした。悲しい記憶が多いのに、母を思う時心に浮かぶのは、笑っている彼女です。

周囲から強いられて出したコメントでしょうけれど、上の一節は、正直な感情の吐露だと感じたのです。一般視聴者である私などは、藤圭子のプライベートは想像するしかないわけですが、宇多田ヒカルの上のコメントからは、藤圭子の実像を鮮明にイメージすることができました。

芸能人で自殺した人は多いし、中には岡田有希子のように人気絶頂期に自死したアイドルもいました。

想像するに、華やかなスポットライトを浴びてしまった人ならではの不幸があるのだと思います。派手なライトを浴びることは、一般人から見れば夢のまた夢の世界ですが、浴びてしまった人は、現実とのギャップもあるでしょうし、相当なストレスを感じるはずです。

特に、歌手の場合は、浮き沈みが激しく、天才的な歌手の中には、国内外をとわず、日常生活がメチャクチャで、不幸な死に方をした人は少なくありません。

 

魂を揺さぶられる歌が湧き上がってくる、源泉は、深く、暗い、それだけは、凡庸な私にも感じとれるのです。藤圭子は無意識のうちに、この魂の深淵を見た、稀有な歌手ではないかと思われてなりません。

藤圭子は、テクニックとしての歌唱力には恵まれてはいなかったかもしれないけれど、聞く者をハッとさせる「天性の歌心」を持っていたことだけは、YouTubeの動画を見てもわかります。

藤圭子がデビューしたのは1969年。藤圭子という炎が鮮やかに燃え上がったのは、一瞬でした。おそらくは、藤圭子は、当時の時代とあまりにもマッチングし過ぎていたのでしょう。

栄光は短すぎましたが、その鮮明度は極めて高い。好きとか嫌いを別にして「自身を歌い切ったという不可思議な絶対感と透徹感」を、聴く者に与えます。歌の内容の暗さとは裏腹に、藤圭子という花は、宙に浮かんだ蓮の花のように色鮮やかでした。

芸能界に咲いた花だから、仕掛けられた造花かもしれませんが、それを誰も決して「あだ花」という言葉では片づけられないでしょう。

以上が、藤圭子に関する宇多田ヒカルのコメントを読んでの私の感想となります。

 

初めて宇多田ヒカルの「First Love」を聞いた時、ニューヨークテイストの演歌だと感じた日が、今は懐かしい。

もともと歌が大好きな私ゆえ、いつでも新しい名曲を探しています。最近、いわべだけピュアそうに仕立てられている楽曲ばかりで、なかなか感情移入できる曲に出逢えません。

聞く者を想わず立ち止まらせ、魂を揺さぶる、激しい歌が出てくるのを希望します。時代もまた、キレイな歌ではなく、激烈な魂の歌を求めているのではないでしょうか。

不幸な天才を望んでいるわけではないけれども、歌手になるために生まれてきたような天才は、人生を歌に捧げ、歌い切ってほしいと切に願います。そういう人が歌った歌でないと、聞く者は感動できないから。

中途半端に現実との折り合いをつけている人たちばかりだったら、この世は味気ないとも思います。自分の身を滅ぼしても、鮮やかな花を咲かせる人がいるからこそ、ふつうに暮らす人の心が癒されるのではないでしょうか。

才能があり、人生を歌に捧げた人の歌唱は、永遠の輝きを放つ。新しい真の歌姫が登場する日を待ちたいと思います。

美しい日本語で書かれた作品をまとめました。

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