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映画「邪魔者は殺せ」を見て、キャロル・リードはヒッチコックと正反対の監督だと感じた。

これまで数多くの映画を見てきたが、その中で最も感動した映画の一つ、それが、キャロル・リード監督の「邪魔者は殺せ」。「殺せ」は「けせ」と読む。

1947年イギリス映画。監督:キャロルリード。原作:F・L・グリーン。出演:ジェームズ・メイスン、キャサリン・ライアンほか。

映画を評価する時、私は自分なりの基準を持っている。「酔える、痺れる、体の芯が熱くなる」というのがあるが、これは滅多にない。

その意味でいうなら、この映画は最高ランクに属する。なぜなら、何度見ても体の芯が焼けるようになる稀有な作品だからだ。

「邪魔者は殺せ」は、ジャンルで言うならばサスペンス映画である。サスペンスと言えば、あのヒッチコックが頭に浮かぶ。

二人の巨匠を比べてみると見えてくるものがある。

私はヒッチコックの全作品と、この映画を天秤にかけたとしても、「邪魔者は殺せ」の方をとるだろう。

サスペンス(緊張感)とかミステリー(謎)とかいうものは効果であり、それは形式のジャンルを形成している。

言い換えるならば、これは器だ。その器に盛る中身がテーマだろう。

しかし、世の中にサスペンスのためのサスペンス、ミステリーのためのミステリーが如何に多いことか。

あのヒッチコックも、サスペンスそのものを第一義として制作している。人間の真実、弱さとか本能とかをサスペンスを盛り上げる道具として使っているのだ。

キャロル・リードはヒッチコックの対極に位置する監督である。ともにサスペンス映画の巨匠だが、2人はまるで正反対だ。

彼が表現したいのはヒューマニズムである。人間への愛おしさと言ってもいい。

それをサスペンス映画のフォーマットに組み入れることで、娯楽性を高め、多くの観衆を魅了したのである。

同じサスペンス映画の巨匠でも、ヒッチコックはゲーム性重視の作家、キャロル・リードはヒューマニズム本位の芸術家と言えるだろう。

最後に「映像」について。

「邪魔者は殺せ」は、モノクロ映画の美しさを教えてくれる作品でもある。光と影、黒と白とのコントラストの冴えは、彼の畢生の傑作「第三の男」に劣らない。美意識の高さには舌を巻かざるを得ない。

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