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「懐石料理」と「会席料理」の違いと正しい使い方


懐石料理」と「会席料理」、あなたはこの2つの言葉をどのように理解し、またどのように使っていますか?

「懐石料理」と「会席料理」はともに日本語として存在すます。ただ、言葉の正しい意味がほとんど理解されずに使われていないのが現状なのです。

「懐石料理」と「会席料理」は、本来、まったく別の料理を指しています。

■懐石(料理)

まずは「懐石料理」から「懐石」を切り離し理解しましょう。

懐石」はもともとは禅の言葉です。「懐石」は禅の「温石(おんじゃく)」という言葉に由来します。

現代人にはなかなか想像しづらいシチュエーションですが、「温石」とは、修行中のお坊さんが空腹や寒さ対策のために、懐(ふところ)に入れていた、温められた石を指すのです。

「懐石」は、この「温石」のようにお腹を温め、空腹をしのぐことができる「軽い食事」という意味を持っています。

ふところに入れた温かな石の役割をする料理を「懐石」と呼ぶとは、センスの良さを感じますね。

そして、その「懐石」と呼ばれる、シンプルな料理が、茶道の世界に広がってゆきました。

このような由来をもつ「懐石」は、本来、素人がつくる簡素な料理を指すのです。懐石を弁当にしたものを点心といいます。

最近になって「懐石料理」は時に、日本料理の豪華なフルコース(それに類似した料理)を意味して使われたりもますが、これは明らかな誤用だと言えます。

ましてや、茶の湯(茶事)を行わない席で出す料理を「懐石」という名で呼ぶのは、「懐石」という言葉の由来からして間違いなのです。

では「会席料理」の正しい意味は?


■会席料理

「会席料理」は、もともと江戸時代に料理屋で出された宴会料理のことを指します。

室町時代には「本膳料理」と呼ばれる、もてなしの形式がありました。これは婚礼などの格式高い席で出される本格的な宴会料理。一の膳から五の膳まであり、作法も複雑だったのです。

この「本膳料理」を簡略化し、なおかつ、目(視覚)と舌(味覚)の両方で楽しめる料理にしたのが「会席料理」です。

江戸中期以降は、俳人などの文化人が会合を開き、その後で「会席料理」を楽しんだと伝えられています。

いかがでしょうか。では、最後におさらいしてみますね。

■懐石料理は茶席で出す簡素な料理で、会席料理は宴席で出す本格的な料理

まとめますと、以下のとおりです。

「懐石料理」は、素人が心を込めてつくった、茶席で出すシンプルな料理を指します。

一方、「会席料理」は、プロの料理人が腕をふるった豪華な料理を指していうのです。

ちょっと本格的な日本料理のことを「懐石料理」と呼んでしまうといった、かなりルーズな誤用が広まってしまっていますね。

この勘違いは「懐石」を(わかりにくいと思ったのか)、「懐石料理」というようになったので「会席料理」と混同されやすくなったのでしょうか。

「懐石」にはもともと料理の意味も含まれるので、もう一度「懐石料理」を「懐石」と呼ぶようにしたら、間違えて使われることは少なくなるかもしれませんね。

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