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山田太一ドラマ「高原へいらっしゃい(1976年)」の感想


山田太一の連ドラ「高原へいらっしゃい」の感想をお届けします。見終ってから、制作された年を確認して、ビックリしました。1976年の作品です。怖ろしく古いですね(苦笑)。

山田太一の作品群の中の位置づけとしては、あの骨太な傑作「男たちの旅路1976年~1982年)」が始まった年に放送されているんですね。

そして、あの名作「岸辺のアルバム」が1977年に制作されていますから、山田太一の代表作とほぼ同じ時期の作品なのです。

で、この「高原へいらっしゃい」のドラマとしての完成度はというと……


全17話という長いドラマなのですが、途中で退屈することはなく、最後まで充分に楽しめました。

単なる「あったか、ほのぼのドラマ」を山田太一が書くはずはありません。主人公である田宮二郎の描き方が興味深いのですね。単純な英雄ではなく、徹底的に主人公の良さを描き切ったところに、山田太一の脚本力を感じました。

田宮二郎の存在感が凄くて、途中、話の筋とかよりも、田宮二郎の演技に没入してしまいました。

田宮二郎は演技派の役者ではありません。彼の役者力は、独特のオーラに負うところが大きいと思います。田宮二郎のドラマと言ってしまいたいぐらい、この「高原へいらっしゃい」の田宮二郎は、際立っていました。

前田吟、由美かおる、池波志乃、益田喜頓、三田佳子、岡田英次、常田富士男、杉浦直樹と、そうそうたるキャスティングなのですが、田宮二郎がずぬけていました。脇役としては、そんなには出てこないのですが、岡田英次の渋い演技も見どころのひとつであると感じました。

気になったのですが、代表作の同時期に作られたドラマであるのに、いわゆる「山田節」とは違ったセリフ回しが目立ちます。もちろん、山田太一らしさもあるのですが、山田節はストイックに抑えられていました。

サブマネジャーに扮した前田吟の早口なしゃべりだけが、山田太一臭さを感じる程度でした。

その理由は、脚本を三人で書いているからだと思います。17話中、山田太一が担当したのは、10回分でした。

そのためか、山田太一の色が薄く、家族で楽しめるエンターテイメント作品に仕上がっています。

 

美しい日本語で書かれた作品をまとめました。


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