2011年5月2日に退院してから、音楽の嗜好が変わってしまったことは、以前に書きました。最近、K-POPを聴くことが多いのですが、もちろん、いま流行しているから飛びついたのではありません。たまたま聴いた曲が、良かったので、それからずっと聴き続けているのです。

もともと、音楽はJ-POPを中心に聴いていたんですが、最近、どうしても聴きたいという歌手がいなくなってしまいました。アルバムを1~2枚買ってみるのですが、すぐに物足りなさを覚えて、聴くのをやめてしまいます。

理由はわかりません。あれほど見た日本のドラマも、まったく見たくなくなってしまいました。音楽やドラマだけでなく日本人が生み出すコンテンツそのものに関心がなくなりつつあります。

音楽を聴くのに、小難しいウンチクとかは必要ないと思っています。今は、ただ水を飲むように日々、音楽を楽しんでいます。それだけ、心が渇くことが多いのかもしれません。

深くて、純粋な歌唱は、自分でも気づいていない深層心理にまで働きかけてくるので、ちょっと怖い気もしています。突然、ダムに亀裂が生じ、そこから、止めどもなく大量の水が流れ出てくる……そんなふうに、自分の感情があふれ出すことって、久しぶりに経験したのです。

突然のダム決壊は、たった一曲の音楽がキッカケだったのでした。

音楽の力って、すごいものだと思います。

私は、国籍だとか、ジャンルを意識して楽曲を聴いたことはありません。そういう区別ができないくらい、私は今「良い音楽」に飢えています。

ダムが完全に破壊されてしまうのは困りますが、私の心という水瓶に、どれくらい水がたまっているか、それを感じさせてくる音楽ならば、どの国のどんなアーティストでも、大歓迎なのです。

いろいろと商業的な戦略とかあろうかと思います。芸能界とかプロダクションとか、複雑な人間模様もあるでしょう。しかし、私としては、歌手の私生活にはまり興味がなく、歌手の作品である歌唱が純粋であってくれれば、他に求めるものなど何もありません。

流行とか、若さとか、勢いとか、そうしたものは、いずれ消え去ります。でも、良い音楽は時を超えて生き続けます。名曲・名盤に私がこだわるのは、いつでも、再生すれば、この上もない心の栄養物を与えてくれるからです。

知識とか先入観なしに感動できるのが、音楽が持つ本来の素晴らしさ。その素晴らしさに敬意を払い、思い切り素直な気持ちで、楽しみたいと思う今日この頃です。

水を飲むように音楽を聴く時間を、大切にしたいと思っています。