前回は「水の八徳」について、お伝えしました。今回は「酒の八徳」ですよ。さらに、日本語の豊かさに酔いしれてしまうことでしょう。

「吉川英治氏におそわったこと」には「酒の八徳」について、以下のように書かれています。

 

盃にそそがれた時のイロミ

 

盃を手にとった時のオモミ

 

唇に近づけた時のカオリ

 

口に入れた時のヌクミ

 

口いっぱいひろがるフクミ

 

のどを通る時のゴクリ

 

身体全体につたわって行くホロリ……

 

実に、ニュアンスが微妙で、豊富ですよね。しかし、これですと七徳しかありませんが、著者の扇谷正三さんは書き忘れたんですかね?

 

以上の理由から、このページでは「酒の七徳」としました。

 

様々な情報が飛び交う現代ですが、中身は貧困なものが多いように感じます。情報はあふれかえっているのに、コンテンツは貧弱になってゆく時代は不幸だと言えそうです。

 

それと比べると、扇谷正三さんが紹介してくれた「水の八徳」と「水の七徳」は、素晴らしい。日本語ってこれほど豊かだったのか、また人ってこれほどまでに人生を豊かに味わって生きていたのか、そのことに驚かされます。

 

心が渇いた時には、せめて「水の八徳」「酒の八徳」を思い返し、日本語の豊かさを噛みしめ、豊かな明日について、考えてみたいと思うのであります。