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「東京物語」の笠智衆と原節子の凛とした気高さ


仕事の合間をぬって、映画鑑賞をしました。小津安二郎監督の「東京物語」。

書店で、こんなDVD集がおいてあったんです⇒小津安二郎大全集 ( DVD 9枚組 ) BCP-027

著作権が切れたせいでしょうか、考えられないほど価格が下がっています。

さて、一言でいいますと、この映画、沁みます。

この「東京物語」は、バロック音楽を聴いているような感じのする映画ですね。こんな清らかな旋律が聴こえてくる映像は、世界の映画史上、他にはないのではないでしょうか。

世の中は濁流であって、そこに、笠智衆(ちゅうちしゅう)、そして、原節子といった登場人物は、濁流に注ぐ、細い清流を想わせます。

原節子や香川京子は、鳥でいいますと、鶴か朱鷺みたいでした。原節子は、本当に鶴のように見えてくるから不思議ですね。こんな映画、他にはありません。

それにしても、笠智衆の存在感。彼がスクリーンに存するだけで、涙が出てきてしまう。

親であることの寂しさを体全身で感じながらも、そのことを名状しがたい深い心で受け止めている、笠智衆の生き方の何と凛としたことか。

一方、息子の嫁であるけれども、息子が先に死に、再婚しようとしないでいる原節子が、日本女性の気高さの頂点を極めるように光輝いていました。人間界の垢をかなぐり捨てた、天女とでも呼ぶべきでしょうか。

もう、こういう映画は、評論できるようなものではなくて、ただただ、繰り返し見るしかありません。

たぶん、何度見ても飽きないですよ。バッハの音楽が人を飽きさせないのと同じこと。

正直、この映画に出てくる、原節子や笠智衆のような人物は、現実にはいないでしょう。

しかし、魂の清らかな人間がいてくれたら、どれほど救われるだろうか、そういう人間の願望に応えうのが小津映画だと思うのです。その意味では、小津映画は、宗教音楽のような厳(おごそ)かさを持っていても、何ら不思議はない、そう感じました。

美しい日本語で書かれた作品をまとめました。


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