取り付く暇もないとりつくひまもない)」と、私は20代のある時期まで、完全に間違えて普通に使っていました(汗)。正しくは「取り付く島もないとりつくしまもない)」。

 

「実用日本語表現辞典」は「取り付く島もない」を、以下のように説明しています。

 

 

取り付く島もない

 

読み方:とりつくしまもない

別表記:とりつく島もない、取り付くしまもない、取りつく島もない

 

全く相手にせず、話を取り合おうとしないさま。「けんもほろろ」なども似た様子を表す言い回し。「取り付く島がない」とも言う。

 

 

会社の上司が忙し過ぎて、声をかける余裕もないことを「取り付く暇もない」と言っていた記憶があります。たいへん恥ずかしい日本語誤用です。

 

しかし、冷静に考えますと、相手が忙し過ぎて声もかけられない状況では「取り付く島もない」という表現も正しくありませんよね。

 

相手がつっけんどんで話をするきっかけが見つからない時に「取り付く島もない」というのであって、忙しくて取りあってもらえない状況では使えないわけです。

 

では、忙し過ぎて、相手にもしてもらえない状態を表現したい時には、何と言ったら良いのでしょうか?

 

「その時、上司は声をかけようにもかけられないほど忙しそうだった」とか「その時の上司は、てんやわんやで、とても声がかけられる状態ではなかった」ぐらいになるでしょうか。

 

そういう状況の時に、間違っても「取り付く暇もない」と言ってはいけないと、今ではわかっているのですが、20代のある時期まで、意識することもなく、普通に使っていました。あの時が、何だか懐かしく感じられるから不思議です。