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若山牧水の名作短歌を5つ選んでみました。


日本の歌人で私が最も親しんだのは、石川啄木と若山牧水です。

今日は若山牧水の短歌の中から、私が特に好きな5首、選んでみることにします。

幾山河越えさり行かば寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅ゆく

漂白の歌人・若山牧水の代表作であり、多くの人々に愛され続けてきた名作中の名作です。

この歌に酷似した詩があります。それは、カール・ブッセの「山のあなた」です。いずれも、満たされぬ思いが消えることを望んで旅を続けているけれども、寂しさや哀しみは消えず、真の安らぎや幸福にも出逢えないという嘆きを詩にしています。

若山牧水の「幾山河」とカール・ブッセの「山のあなた」が多くの人々に愛唱されているのは、天性の詩人でなくても、誰もが青春期には一度は抱いたことがある感情を、わかりやすくものの見事に表現しているからでしょう。

われ歌をうたへりけふも故わかぬかなしみどもにうち追はれつつ

若山牧水という詩人の試作の動機、原動力となっている感情を、ストレートに歌っていて、その真っすぐさに胸を打たれます。



白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ

「幾山河」と並ぶ若山牧水の代表作であり、近代・現代短歌の中で、最も多くに人たちに愛唱されている作品。

青春はなぜ美しいのか。それが純粋だからです。純粋な魂はひとつの例外もなく孤独であります。孤独でありたいわけではないけれども、純粋であるがゆえに、魂は孤独を求め、その中に純粋な表現を生み出してゆきます。

人は時に「人生は旅である」と言いますが、多くの人は孤独の旅に疲れ、一カ所に落ち着こうとします。しかし、生活を安定させてもなお、心の旅を続けざるを得ないのが人生なのですね。その哀しさと美しさを、牧水は「白鳥」の歌に結晶化してくれています。

ともすれば君口無しになりたまふ海な眺めそ海にとられむ

牧水は恋愛歌にも優れたものがあります。読んだ時に思わず赤面してしまうような、あまりの純朴さが牧水の恋歌の特徴と言えそうです。

かたわらにいる恋人が海を眺めている、その表情が海に吸い込まれてしまいそうなほどの情愛に満ちていて、牧水は海に嫉妬している。「海を眺めないでください。海に奪われてしまいそうだから」と声にならない声で牧水は叫ぶように歌っているのです。

同じような設定の短歌がありますので、最後にご紹介しておきます。

君かりにかのわだつみに思はれて言ひよられなばいかにしたまふ

※わだつみ(海神)とは、日本神話における海の神さまのこと。

美しい日本語で書かれた作品をまとめました。

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