大阪ぐらし」という古い歌謡曲を偶然、YouTubeで視聴しまして、たいへん良い歌詞だと感じたので、「大阪ぐらし」という楽曲の歌詞をご紹介します。

 

作詞を担当したのは、石濱恒夫(いしはまつねお)です。

 

大阪ぐらし

 

作詞:石濱恒夫、作曲:大野正雄、唄:フランク永井

 

1 赤い夕映え 通天閣も

染めて燃えてる 夕陽ヶ丘よ

娘なりゃこそ 意地かけまする

花も茜の 夾竹桃(きょうちくとう)

 

2 がたろ横丁で 行き暮れ泣いて

ここが思案の 合縁奇縁

おなごなりゃこそ 願かけまする

恋の思案の 法善寺

 

3 坂田三吉 端歩(はしふ)もついた

銀が泣いてる 勝負師気質(かたぎ)

めおとなりゃこそ 世話かけまする

おれも泣いてる 胸のうち

 

4 夕は夕凪(ゆうなぎ) 夕凪千鳥
鴎(かもめ)啼け啼け 大阪ぐらし
男なりゃこそ 夢かけまする
明日の才覚 土性っ骨

 

私が聴いた「大阪ぐらし」は、藤田まことが歌っていました。

 

甘い声で、抒情たっぷりに聴かせる、なかなか良い歌唱で、思わず聴き入った次第です。

 

何度か映画化もされている、大阪の天才棋士である坂田三吉と女房の小春を題材にした歌詞。

 

それは、3コーラス目を読めばわかりますよね。

 

1番と2番は小春の視点から、3番と4番は三吉の視点から書かれています。

 

YouTubeでは2コーラスしか聴けなかったので、その時は、坂田三吉と小春の暮らしをテーマにした歌だとは気づきませんでした。

 

それを知らなくても良いのではないか、というのが私の率直な感想です。

 

私としては、2コーラスまでの歌詞で充分、文学的な価値があると感じています。

 

1 赤い夕映え 通天閣も

染めて燃えてる 夕陽ヶ丘よ

娘なりゃこそ 意地かけまする

花も茜の 夾竹桃(きょうちくとう)

 

2 がたろ横丁で 行き暮れ泣いて

ここが思案の 合縁奇縁

おなごなりゃこそ 願かけまする

恋の思案の 法善寺

 

石濱恒夫は、川端康成のお弟子さんだっただけあって、言葉が実に豊かです。

 

なりゃこそ 意地かけまする」と「おなごなりゃこそ 願かけまする」の2行が響き合っていて、心地よく円やかに心に沁み入ります。

 

小春の視点だと知らなくても、「娘」「おなご」の心情が、いえ体温までもが伝わってくる、見事な詩であります。

 

大阪の慕情と女性の心情が、ほのぼのと溶け合う、歌詞を楽しむだけで、私は満足するのですが、いかがでしょうか。

 

小春の実名は「コユウ」というそうです。小春という名は、戯曲「王将」を書いた北条秀司の創作。

 

コユウは別の男性と結婚していましたが、三吉はコユウを愛し続け、その離婚を待って結婚したというエピソードが伝えられています。