美しい日本語の作品

柳田國男「遠野物語」の言葉力

柳田國男の「遠野物語」を、心を空しくして、繰り返し読んでいます。

読んでいるというより、感じていると言った方が適切かもしれません。

こういう言葉が生き生きと呼吸している世界に触れると、「言葉の力」というものを、改めて考えざるを得ないのですね。

言葉には様々な力がありますが、中でも「喚起力」は、言葉の持つ尊いパワーだと思います。

「遠野物語」を読んでいると、ふだんは眠っている感覚を呼び覚まされるのを感じます。

五感とかそういう現実的な感覚だけでなく、深い無意識化に沈んでいる何かが目覚めるのを鮮やかに実感できるのです。

いろんなメディアが発達し、情報は増えたけれども、私たち現代人の感性は、かなり鈍化していると言わざるを得ないでしょう。

情報を処理することに追われて、自分の感覚を閉じてしまっていることさえ、忘れてしまっている日常……それは、ちょっと怖い気がします。

私が今もっとも危惧しているのは、ふるさとの喪失です。生まれ故郷という意味ではなく、心のふるさとを私たちは、見失っていると、強く感じてます。

言葉を見つめなおし、言葉の力によって、忘れていた故郷を見いだせるならば、きっとこれからの人生は、不安が薄れ、豊かな時間が流れてゆくのではないのではないでしょうか。

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