テレビの人気時代劇「必殺仕置人」(1973年放送)のエンディングテーマ「いつか愛の日が」をご存じだろうか。
茜まさおの詩も良いが、何といっても三井由美子の歌唱がすばらしい。
あまりにも哀しい歌詞を絶対化した、三井由美子の歌唱には、時代を超える激しさと透徹感がある。
いつか愛の日が
作詞:茜まさお、作曲:平尾昌晃、編曲:竜崎孝路
1
ある日あなたと出逢い 恋を知った私
それからは倖せな旅が待っていたの
淋しがりやの 肩を寄せ合い
いつまでも何処までも 歩いて行くのよ
やがていつか 愛の日々が二人にくるまで
2
古い傷あと抱いて 泣いていても駄目よ
かばい合うその過去は ともに忘れましょう
強く生きよと髪に手をやる
あなたには いのちまであずけて行くのよ
やがていつか 愛の日々が二人にくるまで
3
虹が出てきた 空を指さす
あなたにも私にも果てない旅路よ
やがていつか 愛の日々が二人にくるまで
三井由美子、恐るべし! こんな凄い歌手が日本にいたのだ!
呆気にとられるほど、ど真ん中、直球勝負、ど正面からの歌い上げ……こういうどこにも逃げない真っ直ぐな歌が心がかつてあった……何だか自分がはるか以前に忘れてしまった、後先を考えない情熱が身内によみがえってくるのを覚えた。
演歌の領域を超えて、和製ブルースにまで到達している、と言ってしまいたい衝動にかられるのである。
三井由美子の歌唱には、サブカルチャーとは言わせない、神がかった迫力、鬼気迫る何ものかがある。
報われない愛への怨念と祈念が合一しているのだ。
三井由美子のところに、神が降りてきている。
躊躇なく歌い切る大胆素敵さを有し、感情を天空まで昇華するかのような不可思議な透明感を獲得した、奇跡の絶唱であると言ったら、誉めすぎだろうか。
などと私が書いても、この歌を聴いたことがなければ、話にもならないから、YouTubeのリンクからご視聴を…
ウィキペディアで三井由美子の情報を探ったが、この「いつか愛の日が」以外にヒット曲はないようである。
そして、その人生は、ブルースならぬ、ど演歌そのものだったようだ。
これだけ超絶な歌唱力を持ちながら、大輪の花は咲かせられなかったらしい。いや、この「いつか愛の日が」だけでも、充分すぎる開花だと言うべきだろうか。
日本にこれだけの歌手がいたというだけでも、凄いと心底思うのである。