映画「この天の虹」は、1958年に公開された日本映画。
監督は木下恵介。主演は久我美子。
実在する八幡製鉄所を舞台に展開されること、しかも、八幡製鉄所の名前を出し、その概要を伝えていることが、極めて異色である。
八幡製鉄所の巨大な会社で働く人々に生活を描写して、人々に暮らしの情感をきめ細やかに表現している。
「天の虹」とは、八幡製鉄所の煙突から出る、独特の色をした煙の色を指す。
それは従業員の夢と希望の象徴であるはずだったが……。
久我美子の凛とした表情は文句なしに素晴らしいが、そのほか、出演者として特筆すべきは、笠智衆と田中絹代だろう。
日本映画の黎明期から、類い稀な存在感と演技力で、多くの映画ファンを魅了し続けた、この二人が夫婦役を演じているとことが見られるのも、昭和生まれの私にとって貴重な体験であった。