「されてください」は敬語として文法的に間違っている?という記事を、以前に書いたことがあります。

 

そこでも述べたのですが、本当に敬語は難しいところがあります。

 

敬語の正しい使い方を身につけるには、大別すると、2つの方法があるのです。

 

1)敬語を外国語だと思って、使用頻度の高い敬語を丸暗記する。

2)敬語の種類や用法など、文法的知識を基礎から学ぶ。

 

今日お伝えするのは、2番目の方法です。

 

例えば「される」と「なさる」の違いを、文法的に説明できるでしょうか。

 

「される」も「なさる」も、「する」の尊敬語です。ただし、敬意の度合いが違います。

 

「なさる」の方が「される」よりも、敬意は高いのです。

 

「される」は、以下のように使います。

 

 

吉田さんは、言葉をたいへん大事にされているそうですね。

 

 

「なさる」は、以下のように使います。

 

 

お父様は、ゴルフをなさるそうですね。

 

 

「される」を使い時の注意点は、受け身と同じ形になるので、混同しやすい状況では、他の言い回しに変えた方が賢明です。

 

 

区別がしづらいのは、以下のような場合。

 

 

鈴木さんは、不動産について相談をされました。

 

 

上の文ですと、鈴木さんは、相談をしたのか、されたのか、わかりませんよね。

 

意味を正確に伝えるためには、以下のように書き換える必要があります。

 

 

鈴木さんは、不動産について相談をなさいました。

 

 

一方、「なさる」を使う時の注意点は、命令形の「なさい」には、敬意を含まれませんから、目上の人には使えないことを忘れないでください。

 

例えば、以下の言い回しは、同じ「なさい」でも、上は敬語ですが、下は敬語にはなっていません。

 

 

バニラとストロベリー、どちらになさいますか。

 

たまには、料理くらい自分でなさい

 

ただし、連用形の「なさい」に丁寧語の「ませ」をつけた「なさいませ」は、例えば「お休みなさいませ」というふうに、目上の人にも使うことができます。

 

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