今回は渕上毛銭ふちがみもうせん)の詩を一編ご紹介します。

 

出発点」です。

 

さっそく、引用してみますね。

 

出発点

 

美しいものを
信じることが、

 

いちばんの
早道だ。

 

ていねいに生きて
行くんだ。

 

たった、これだけです。

 

八木重吉の素朴さと単純さとは、やや趣を異にしている。どうして、そうなるのか、それはわからない。

 

「美しいものを信じること」、私自身も、そうはしているのだ。

 

しかし、信じているはずなのに、「美しいもの」を感じたと同時に、もう不安にかられている。

 

美なるもの以外のことを考え始めている。不安だからだ。

 

「美しいもの」だけを信じ、「美しいもの」に浸り続ければ、それだけでいい。何も要らない、というふうにはなれていない。

 

確かに、信じているはずなのに……。