今回は淵上毛錢(ふちがみもうせん)の詩を一編ご紹介します。
「出発点」です。
さっそく、引用してみますね。
出発点
美しいものを
信じることが、
いちばんの
早道だ。
ていねいに生きて
行くんだ。
たった、これだけです。
八木重吉の素朴さと単純さとは、やや趣を異にしている。どうして、そうなるのか、それはわからない。
「美しいものを信じること」、私自身も、そうはしているのだ。
しかし、信じているはずなのに、「美しいもの」を感じたと同時に、もう不安にかられている。
美なるもの以外のことを考え始めている。不安だからだ。
「美しいもの」だけを信じ、「美しいもの」に浸り続ければ、それだけでいい。何も要らない、というふうにはなれていない。
確かに、信じているはずなのに……。
いや、いや、美を信じるとは、近道ではない、それは祈りであろう。
●当ブログ「美しい言葉」で取り上げた、淵上毛錢の詩
素晴らしいと思う