連続テレビドラマ「若者たち」の第17話「友だち」で朗読された詩をご紹介する。

 

友だち

 

言うまでもなく素晴らしい

黒い瞳の俺の友だち

 

太陽に向かって旗を押し立て

足音を立てて歩いてゆく

幾十万の俺の友だち

 

君たちの旗を遠い遊星に立てろ

新しい世界の真ん中に立てろ

 

健康を誇る若者よ

幸福を運ぶ若者よ

 

形がないのに君たちには見える

音がないのに君たちには聞こえる

 

あの希望という名の不確かな星を

謙虚に勇敢に追い求めてゆけ

 

移ろいやすい疑惑で

その旅を汚すな

 

悔恨の吐息で

その旅を終わるな

 

険しい闘いの時が

蟷螂(とうろう)の斧を押し砕き

毎日見る間に押し流して行っても

時の間の敗北が

君たちのある日を暗闇にしても

音を立てて今地球が回っていることを忘れるな

 

僕たちは僕たちの錯乱を信じよう

ざまもない失敗を堂々と誇ろう

 

未来は真っ白な手帳のようだ

新しく始まる音楽のようだ

 

風や雲やかげろうのように軽く

海や大きな嵐や大きな河のように力強く

僕たちは僕たちの車を押してゆく

もっと緑濃い森の中に

もっと伸びやかな人間の世界に

 

言うまでもなく素晴らしい

真っ黒い瞳の友だちよ

懐かしい友だちよ

見知らない兄弟よ

 

※「蟷螂(とうろう)の斧」とは《カマキリが前あしを上げて、大きな車の進行を止めようとする意から》弱小のものが、自分の力量もわきまえず、強敵に向かうことのたとえである。