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ドラマ「特捜最前線」の最大の魅力は、大滝秀治が演じる船村刑事の泣き節!?

日本のテレビドラマ - 特捜最前線

特捜最前線の最大の見どころは、アクションとか逮捕劇ではない。

 

船村刑事の人情劇にこそ、特捜最前線の精髄が息づいている。

 

今回ご紹介する「第85話 死刑執行0秒前」「第127話 裸の街Ⅰ・首のない男!」「第128話 裸の街Ⅱ・最後の刑事!」も、船村刑事の泣き節と執念に、私たちは酔い、感動できるのだ。

 

以上の回は、すべてアマゾンプライムで鑑賞可能だ。

 

特捜最前線セレクション

 

大滝秀治が演じた船村一平という刑事についての解説は、ウィキペディアに詳しいので、かなり長いが引用しておく。

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山田太一ドラマ「遠まわりの雨」では、夏川結衣が渡辺謙をしのぐ演技力を披露。

山田太一

山田太一ドラマに「遠まわりの雨」がある。主演は渡辺謙夏川結衣。この二人の共演というだけで絶対に見たくなる。

 

 

私はこの「遠まわりの雨」を見るのは、今回が2回目。

 

現在、全く金がないが、どうしても見たいので、中古のDVDを買ってしまった。

 

1980円以上の価値があった。

 

素晴らしい。山田太一らしさが凝縮された傑作だ。 続きを読む

特捜最前線 第118話「子供が消えた十字路」

日本のテレビドラマ - 特捜最前線

前回の記事で「特捜最前線」の真骨頂は『お涙ちょうだい劇』にある、と申し上げた。

 

特捜最前線の「第40話 初指令・北北東へ急行せよ!」

 

今回は大滝秀治(船村刑事)の独特の演技力について述べたい。

 

大滝秀治の凄まじいばかりの演技が見られるのが、118話の「子供が消えた十字路」だ。

 

この回も、現在、アマゾンプライムで見られる。

 

子供が自動車にはねられたところを、船村刑事が目撃。それがとんでもない事件になるのだが、その時の様子を、船村刑事はどうしても正確に思い出せない。

 

船村刑事の苦悶が始まるのだが、その苦しみ、悶える船村刑事の表情は、テレビドラマのワク(一般常識)を完全に逸脱している。

 

船村刑事の表情の変化を追いかけるだけでも、ドラマ10本分の価値はある。

映画「流れる」は昭和の名女優が勢ぞろい。滅びの美学を芸者置屋を舞台に表出

日本映画(邦画)

成瀬巳喜男監督の映画「流れる」を鑑賞。

 

「流れる」は、1956年に公開された日本映画。

 

日本の情緒、滅びの美学を、零落する芸者置屋を舞台に存分に描き切った名作映画だ。

 

古き昭和の名女優たちが大集結している点も、映画のオールドファンにはこたえられないだろう。

 

梨花(お春):田中絹代
つた奴:山田五十鈴
勝代:高峰秀子
なな子:岡田茉莉子
染香:杉村春子

 

以上5人の女優たちが、陰影豊かな演技を披露してくれていて、最初から最後まで目が離せない。

 

山田五十鈴の美しさ、高峰秀子の哀愁、田中絹代の渋みが、特に際立っていた。

 

私自身、2週間の入院生活を終えた後だから、これらの古き良い昭和女優の競演を、しっとりと楽しみたに違いない。

 

私の母親が愛した女優たちに、これまで全く興味がなかったし、その演技力を味わう鑑識眼も持ち得なかった。

 

だが、今回鑑賞してみて、やはり映画「流れる」は、名作として語り継ぐ価値があると痛感した。

 

映画「流れる」の原作は、幸田文の同名小説。

 

幸田文は「流れる」というタイトルについて「しあはせになつてあちらの方へ遠く離れて行くのを見送つてゐること」のように思われる、と書いている。

 

隅田川沿いの風景と町並み、人々の暮らしぶりを背景にして物語が進んでゆく。

 

「流れる」は、墨田川の流れであり、時代の変化であり、登場人物の自分の運命に流されるような主体性の薄い人生の流れなどを、象徴しているように私は感じた。

 

成瀬巳喜男監督の抒情表現は見事である。

 

しかし、そこに意味性や哲学はない。情緒のための情緒であり、美意識の美が存するだけだ。

 

まさに、それが成瀬巳喜男フィルムの精髄であろう。