テレビドラマ「若者たち」の第16話「五月の風の中」で暗唱される詩が実に良いので、ご紹介しよう。
題名はドラマ中では明かしていないので、ここでは仮に「五月の風の中」としておく。
五月の風の中
ある日
少年は若者になった
そしてまた ある日
少女は大人になった
それは五月のある日
それは五月
草は草となり
虫は虫となり
太陽は太陽となる
五月のある日
それは五月のある日
少年は若者になった
少年は長い膝を持て余し
苛立たし気に 長い指を鳴らす
肩をすぼめ 眼をふせて
五月の風の中
少年は恥ずかし気に歩く
それは五月
草は草となり
虫は虫となり
太陽は太陽となる
五月のある日
それにしても、この詩、いったい誰が書いたのだろうか?
いろいろ検索しても、全く作者がわからないのだ。
脚本家が書いたのだろうか?
知っている人がいたら、ぜひとも、教えてもらいたい。
少年や少女が大人に目覚めるとき、それを詩にしているんですが、極めて興味深いけれども、けっこう難しいテーマだろう。
と言いながら、これくらいの詩は自分でもいつでも書けるよ、と私が今、二十歳の文学青年だったら大ぼらを吹くだろうと思っている私がここにいる。
書けそうで書けないのが、優れた詩の条件かもしれない。
自分でも書けそうだ、と感じるということは、その詩に共感しているからに違いない。
自分もそう感じる、確かにそう思えると、その詩を追体験して、自分でも書けそうな気になっているのだ。
今の私は自分でも簡単に書けるとは思わない。
第一、この詩は、このドラマ「五月の風の中」に内容に、ジャストフィットしている。
ドラマの内容の合わせて、詩を書き、その詩で物語を味付けしているのかもしれない。
だとしたら、相当な書き手である。
⇒「五月の風の中」の暗唱はドラマ「若者たち」の16話でどうぞ
今の私はこのように評論家じみたことを書いている自分が嫌なのだ。
素直に「五月の風の中」というタイトルで、自分の詩を書いてみたいと思い始めている。
ただ、今は2月5日、5月まで生きられるだろうか、それが問題だ。
もちろん、5月にならなくても、想像で書けるだろうけれど、実際に「五月の風」に吹かれながら、書いてみたいのである。