連続テレビドラマ「若者たち」をご存じだろうか。というか観たことがあるだろうか。

 

私はアマゾンプライムで鑑賞した。1966年にフジテレビで放送されたのだが、存在すら今まで知らなかった。

 

大阪府内に住む、5人兄弟(4男1女)が両親を亡くしてからの生活を伝えた、毎日新聞の特集記事(1965年11月29日付朝刊「ある家庭」)をベースに制作されたのが、このドラマ「若者たち」である。

 

テレビドラマ「若者たち」はこちらで視聴可能です

 

映画はパート3まで制作されており、当時、いかに人気が高かったのかがわかる。

 

映画「若者たち」のレビュー記事はこちら

 

映画「若者はゆく」のレビュー記事はこちら

 

今回はテレビドラマの「若者たち」を観た感想を書きたい。

 

熱い、本当に熱い。これほど熱いテレビドラマを観たことがない。

 

ドラマとは人と人とがぶつかりあって火花を散らすことだ、と言った人がいるが、この「若者たち」を観ると、まさにその通りだと痛感した。

 

熱いだけではなく、そこには人間への愛が満ち溢れているのだ。

 

ほしい、現代に、この熱さが、溢れる愛情が!

 

というのでは足りない。このドラマには常軌を逸した「聖なる狂気」があるのだ。

 

キャスティングも素晴らしい。

 

両親のいない5人兄弟を演じたのは、以下の俳優である。

 

田中邦衛
橋本功
佐藤オリエ
山本圭
松山省二

 

ものの見事に、それぞれの俳優がそれぞれの際立つキャラクターを演じきっている。全員に主演賞を与えたいほどだ。

 

特に、次男役の橋本功が効いていた。

 

このテレビドラマ「若者たち」の主題は家族愛、兄弟愛にほかならない。

 

だが、当時も今も珍しい、色濃い社会性は特筆に値する。

 

貧困問題、資本主義の矛盾、労働問題、学歴社会の歪み、受験戦争……その背景として悲惨な戦争の傷跡が経済成長期の日本においても、重く疼いているのである。

 

また脚本家の多さにも驚く。以下の脚本家が参加している。34回も続いたのは、豊富な人材がいたからなのだろう。

 

山内久、早坂暁、立原りゅう、清水邦夫、布勢博一、寺田信義、大野靖子、多賀祥介、山田正弘、林秀彦、大西信行、田村孟、菅孝行

 

最近の6年間、私はずっと政治を語ってきたが、政治に関心のある人も、ない人も、このドラマ「若者たち」を観て、今もなお解決していない社会問題に目覚めてほしい、と切に願うばかりである。