今回は、金子みすゞの詩「明るいほうへ」をご紹介。
引用元は「金子みすゞ詩集(彩図者)」です。
明るいほうへ
明るい方へ
明るい方へ。
一つの葉でも
陽の洩(も)るとこへ。
薮かげの草は。
明るい方へ
明るい方へ。
翅(はね)は焦(こ)げよと
灯(ひ)のあるとこへ。
夜飛ぶ虫は。
明るい方へ
明るい方へ。
一分もひろく
日の射(さ)すとこへ。
都会(まち)に住む子等は。
植物も、昆虫も、人間も、生きとし生けるものはすべて、光を求めて生きます。
なぜ、こんな当たり前なことを、金子みすゞは詩にしたのか?
人生の闇を知りぬいた人だからだ、そして、金子みすゞ自身も、生涯、光を求めて生き続けた人だからではないでしょうか。
金子みすゞの詩は、私たちにとってかけがえのない「光」ですが、金子みすゞ自身は、深い「闇」の底の冷たさを知っている……だからこそ、私たちを「明るいほうへ」導こうとしてくれている、そんな気がしてなりません。
金子みすゞの詩の大きな特徴の一つに「光と闇のコントラスト」があります。金子みすゞの光と闇については、詩「大漁」の感想で詳しく書きましたので、よろしければお読みください。
金子みすゞの詩は、風花まどか大学の教科書…
「風花まどか大学」の「まどか学」と「詩学」は、金子みすゞのポエジー(詩精神)が根底に息づいています。
金子みすゞの詩の世界を、もっと深く味わいましょう…
私は優れた詩を広く知っていただくために、様々な視点(価値基準)から詩作品を選出(ランキング化)しています。それらのほとんどすべてに、金子みすゞとその詩はランクインしているのです。
金子みすゞは「日本の詩人ベスト3」の中に入っています。
金子みすゞの詩「石ころ」は「元気・勇気が出る詩10選」の2位にランクイン。
金子みすゞの詩「鯨法会」は「詩を文学的に評価するランキング」にて第9位にランクイン。
また「鯨法会」は「かなしくも美しい詩10選」の第1位に選出。
(金子みすゞの世界を深掘りした記事)
当ブログではこれまでに以下の金子みすゞの詩を取り上げています。
みんなちがって、みんないい~金子みすゞ「私と小鳥と鈴と」より
金子みすゞの詩「こだまでしょうか」の最後の一行「いいえ、誰でも」の意味
素晴らしいです