今回ご紹介するのは「リンゴの唄」。大東亜戦争が終わった1945年の10月に発表された歌謡曲で、作詞はサトウハチローが担当しました。作曲は万城目 正(まんじょうめ ただし)。

 

さっそく、引用いたします。

 

リンゴの唄

 

赤いリンゴに 口びるよせて
だまってみている 青い空
リンゴはなんにも いわないけれど
リンゴの気持は よくわかる
リンゴ可愛(かわ)いや可愛いやリンゴ

 

あの娘(こ)よい子だ 気立てのよい娘
リンゴによく似た かわいい娘
どなたが言ったか うれしいうわさ
かるいクシャミも とんで出る
リンゴ可愛いや可愛いやリンゴ

 

朝のあいさつ 夕べの別れ
いとしいリンゴに ささやけば
言葉は出さずに 小くびをまげて
あすもまたネと 夢見顔
リンゴ可愛いや可愛いやリンゴ

 

歌いましょうか リンゴの歌を
二人で歌えば なおたのし
みんなで歌えば なおなおうれし
リンゴの気持を 伝えよか
リンゴ可愛いや可愛いやリンゴ

 

「リンゴの唄」は、大東亜戦争敗戦後の日本で戦後映画の第1号『そよかぜ』(1945年〈昭和20年〉10月11日公開、松竹大船)の主題歌及び挿入歌として発表されました。日本の戦後のヒット曲第1号。なお、『そよかぜ』は並木路子が主演を務め、霧島昇も出演しています。

 

「リンゴの唄」は敗戦で打ちひしがれていた日本人を励ます、極めて質の高い歌謡曲です。

 

質が高いという意味は、楽曲の純粋さにあります。この頃は、まだ商業主義という言葉も、エンターテインメントという言葉もなかったのですね。

 

曲も実に良いのですが、サトウハチローの歌詞には、ドキッとするほどの魅力があります。

 

類まれな才能を感じずにはおれません。