映画「妻の日の愛のかたみに」は、1965年に公開された日本映画である。

 

監督は富本壮吉。脚本は木下恵介。主演は若尾文子と船越英二。

 

脚本が木下恵介ということだが、この映画の監督が木下恵介と言われても私が疑わなかっただろう。

 

それほど、抒情あふれる見事な演出が見られるからだ。

 

短歌が効果的に朗読されるが、木下恵介の名作「野菊の如き君なりき」でも短歌がたびたび朗読されており、同じ演出なのである。

 

池上八重子の短歌は、魂にまで沁みわたる。

 

ひんぱんに登場する、物語の舞台となる街の水路が哀しくも美しい。

 

この映画に水路が映されていなかったら、名作足りえなかったのではないかと思うほどだ。

 

ひょっとすると、水路がこの物語の主人公なのかもしれない。

 

この映画「妻の日の愛のかたみに」について、全く知らなかった。

 

この映画の主人公のモデルである、池上三重子という歌人の存在も知らなかった。

 

この映画はフィクションではなく、実話なのである。

 

この映画「妻の日の愛のかたみに」は、池上三重子の実人生を描いた作品である。

 

さっそく、池上三重子の著書「妻の日の愛のかたみに」をアマゾンで注文してみた。着くのが楽しみ。

 

映画鑑賞を深めるには、基礎知識として池上三重子の一生について知らなけらばならない。

 

だが、それは、この映画を見終わってから、情報をインプットした方が良いだろう。私もそうだったし……。

 

だから、以下の情報は、いわゆる「ネタばれ」になるため、映画を見終わってから読んでいただきたい。

 

池上三重子さんの略歴

 

1924年福岡県三潴郡大莞村(おおいむら・現大木町)に生まれる。福岡女子師範(現福岡教育大)卒業後、小学校教諭を務め、50年(昭和25年)に結婚、54年〈同29年)30歳の秋に発病、多発性リューマチ様関節炎と診断される。

 

やがて不治の宣告を受け63年〈同38年)に.夫の愛ゆえに妻の座を返上.病床に金縛り同然の身を母キクさんに支えられながら療養生活を続ける.

 

88年〈同63年)たくまざるユーモア精神で終生、池上さんを励ましつづけた母上を105歳で見送る。

著書に.歌集「亜麻色の髪」、「妻の日の愛のかたみに」「わが母の命のかたみ」。夫への清冽な愛を短歌とともに綴った「妻の日の愛のかたみに」は感動を呼んでベストセラーになり、乙羽信子主演でテレビドラマに、若尾文子主演で映画になる。

現在、福岡県大川市の永寿園で療養中。「書くことは生きること、心の平穏を得ること」と「自省抄」と名付けた日録を綴っている。(引用元は「銀座一丁目新聞」)