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今回は四國五郎の「朗読詩 ひろしまの子」をご紹介します。

 

朗読詩 ひろしまの子

 

あなたのとなりを見てください
ひろしまの子がいませんか
ひろしまの子は 丸顔です

すんだひとみを しています・・・

 

(ひろしまに暮らしていた子どもたちのうえに

1945年8月6日 午前8時15分

原子爆弾が、落とされました)

 

小さな子どもたちは 広島の街のなかで 死にました

いっしゅんに とけて

飛ばされ ちぎれて

建物に おしつぶされ

防火用水の なかで

お母さんの名を よびながら

一番むごたらしい死にざまで 死にました

 

ひろしまの子は あの日のままです

おなかをすかせたままです

 

あなたのとなりを 確かめてください

そこに ひろしまの子がいます

あなたの目で うなずき返してやってください

ひろしまの子に わかるように

 

けっして再び

あやまちはくり返さないと!

けっして 許さないと!

 

皆さんは、四國五郎(しこく ごろう)という詩画人をご存じでしょうか。

 

シベリア抑留という過酷な体験を生き抜き、やっとの思いで帰郷した故郷の広島で、最愛の弟が原爆の犠牲になったことを知る……。

 

そのあまりにも深く悲しい体験から、生涯をかけて反戦と平和を訴え続けた人物です。峠三吉の『原爆詩集』の表紙や、絵本『おこりじぞう』の挿絵を描いた画家として記憶している方も多いかもしれません。

 

しかし彼は、絵筆だけでなく、言葉(詩)を通じても強いメッセージを遺しました。

 

彼が遺した反戦詩のなかで、今の時代に生きる私たち、そしてこれからを生きる多くの方にぜひ知っていただきたい名作があります。

 

それが、朗読詩『ひろしまの子』です。

 

あなたのとなりを見てください

ひろしまの子はいませんか

ひろしまの子は 丸顔です

すんだひとみを しています

あなたを じっと見つめています

 

(四國五郎『ひろしまの子』より一部抜粋)

 

込められた想いと解説

 

この詩に登場する「ひろしまの子」とは、原爆が投下される前、ごく当たり前の日常を生き、笑い合っていた子どもたちのことです。

 

彼らには、一人ひとりに家族があり、未来があり、平和な生活がありました。

 

しかし、戦争と原爆は、ある日突然、そのすべてを一瞬にして奪い去ってしまったのです。

 

四國五郎は、読者である私たちの「となり」に、静かに彼らを立たせます。

 

遠い過去の出来事としてではなく、「いま、あなたの隣にいる子どもたちと同じように、彼らも生きていたのですよ」と語りかけてくるのです。

 

澄んだ瞳でこちらをじっと見つめる「ひろしまの子」。

 

その視線は、私たちに何を問いかけているのでしょうか。

 

それはきっと、「二度と同じ過ちを繰り返さないでほしい」「私たちの命を奪ったような悲劇を、絶対に許さないでほしい」という、言葉なき切実な願いにほかなりません。

 

この詩は、決して声を荒げて戦争の悲惨さを糾弾するものではありません。

 

しかし、だからこそ、静かに見つめてくる子どもたちの澄んだ瞳が、私たちの心の奥深くに突き刺さります。

 

戦後80年という月日が流れ、世界では今なお争いが絶えません。

 

そんな現代だからこそ、この詩が放つ静かで力強いメッセージは、より一層の重みを持って響くはずです。

 

もし機会がありましたら、ぜひ声に出して、この詩を読んでみてください。

 

そして、あなたのとなりに立つ「ひろしまの子」の瞳と、そっと向き合ってみていただければと思います。