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風花未来の今日の詩は「心の旅」です。

 

心の旅

 

心の旅って

もう 使い古された

手垢にまみれた

ありきたりの言葉だよね

 

心の旅 ふうん 心の旅ね

 

心の中で 旅をすることだろう

 

つまり……

 

うぅうぅっと

嗚咽がもれそうになった

 

いまの わたしは

わたしには

わたしに できるのは

心の中で

旅することぐらいしかできないんだよね

 

だとすると

心の旅を

古臭いとか

陳腐だとか

何の新鮮味もないなんて

とても 言えないんじゃないか

 

今日は 珍しく外食したけど

何の変哲もない行動だったから

半分は 心の中で

想いをめぐらして

旅をしていたようなものだった

 

ひょっとしたら

来月くらいに

あの人と再会して

かなり危ない関係に

進展するかもしれないと

真面目に一瞬だけ想ったけど

それこそが

夢想だし

心の旅路でしかなく

現実には なりようもないんだよね

 

わたしと同じように

ステージ4の癌で

抗がん剤の副作用で悩んでいても

人も お金も 仕事もあって

友だちや 家族に

そして 愛にも

恵まれている人はいるだろう

 

だけど いまのわたしは

なぜか 静けさを

いちばんに愛してしまっている

 

静けさ以外は

夢物語のほうが

やすらかな気がしている

 

命がけの愛の告白を

ついにできず

時ばかりが経ってゆくような

遠ざかる風景の

空虚さが

いまのわたしには

よく似合う

 

侮れない

馬鹿にできない

 

心の旅を

もう 二度と 笑えない

 

だって

あしたも わたしは

心の旅を

続けるしかないのだから