風花未来の詩、今日のタイトルは「スワン」。
スワン
スワンが見えた
初めて私があのスワンを見たのは
もうあまりにも遠いとおい過去のことで
いつだったかも想い出せない
あの純白の姿を見た時から
私の人生はかわってしまった
いや 決定づけられてしまった
でも どうだろう
あの おぼろげで
それでいて あざやかな
神々しい白鳥のことを
長い間 私は忘れていた
想いだすこともこともなかった
それなのに
どうして
スワンが見えた
なんの前ぶれもなく
眼の前に
スワンがあらわれた
日常の時の流れの中に
ごくありふれた暮らしの場面に
しかし
昔とかわらぬ
現実とはそぐわない美しさで
スワンが降りたった
遠いとおい昔と同じで
すきとおる微笑みを浴び
天のしずくのような言葉に包まれても
私の気持ちが向こうに
通じているのかもわからないけど
いまの私には
スワンが
はっきりと見える
あなたは、あなたの中の白鳥に出逢ったことはありますか?
人は時に、自分らしく生きたいと強く願う。
だがしかし、自分自身そのものといっていいくらい、自分らしすぎる自分の投影を見てしまったら、どうだろうか?
遠い遠い憧れが、そもそも私にとって幻のような存在が、現実に私の前に立ち現れた。
私の心が生み出した幻影なのか、それとも、天国からの使者なのか……