今日の風花未来の詩は「最期の言葉は……」です。

 

最期の言葉は……

 

最期の言葉を

無意識のうちに

準備しようとしていた

かもしれないので

自分でも戸惑っているのです

 

最期の言葉は

用意しないと思います

正直に言うと

そんな余裕はありません

だから

準備しようと思っても

できていないし

これからもできないのです

 

今日この時を

生きること

それだけで

精一杯

 

私にとって

生きるとは

懸命に愛して

言葉を発すること

 

語りたいことが多すぎて

やり残していることが

山ほどあって

主治医に告知された

余命では

とてもやり切れないので

少しでも前に進めたくて

辞世の句とか

最期に伝える遺言とかを

準備している時間が

心の余裕がないのです

 

だから 私に

気の利いた

最期の言葉は

期待しないでください

 

ただ 日々少しずつ

発する私の言葉を

私が死んでからでも

それでも充分なので

私の言葉を見つけて

落穂ひろいのように

手にとってくれたら

それだけで

もう充分なので……

 

だから

最期の言葉は

準備しません