「隣人-The Neighbors-」は、2012年に制作され、2014年に公開された韓国映画。
監督は、キム・フィ。
主な出演者は、キム・ユンジン 、キム・セロン、キム・ソンギュン、マ・ドンソク。
韓国映画「隣人-The Neighbors-」は、素晴らしい。ありがちなクライム・サスペンスでもなく、安っぽいホラー映画でもない。芸術の域まで高められた心理劇である。
登場人物の顔の微細な表情など、心理描写は珠玉だ。
時間と空間が、過去と現在が交錯し、瓜二つの少女、二人の幽霊が現れ、自らが犯した罪に苦しむ二人の男の心理の揺れ、娘の幽霊に恐れてい母親は、娘への愛に目覚める。
この映画のテーマは「愛」に他ならない。
映画が始まって5分59秒で表示される以下のテロップが、実に印象的で効いている。
死んだ娘が、一週間続けて帰ってきた。
このテロップは、死んだ娘の母親視点からの言葉。
そして、ラスト35秒前には、以下のテロップが表示される。
殺したはずの娘が、一週間続けて帰っていく。
このテロップは、娘を殺した犯人視点からの言葉。
特筆に値するのが、キム・セロン。
一人二役の少女を演じたキム・セロンは(韓国には珍しくはないのだが)天才子役というべきか。
心理の描出が微細。対照的な二人の少女の性格を演じ分ける、表情が豊かで、神がかっていた。
最近、ハリウッドのサスペンス映画ばかりを見ていたので、映画としての力量と水準の違いに、舌を巻いた。
実は、以前に導入部を見て、挫折した作品なのだが、今回は、最後まで、一気に見終えた。
以上、私が述べたことを実現してしまったのは、監督である、キム・フィの才腕に他なるまい。
韓国映画、恐るべし、である。