山田太一が脚本を担当したドラマ「ハワイアン ウエディング・ソング~マウイの想い出」を見ました。1992年の作品。
山田太一ドラマのすべてに言えるのですが、セリフの一つひとつが人間の心理に鋭く切り込み、人間の真実をあぶり出すのです。
視聴率ねらいの連ドラでありえない、シリアスな言葉が次々に飛び出してくる。それが、独自の快感を生むのが山田太一ドラマの特徴だと言えます。
で、今回鑑賞した「ハワイアン ウエディング・ソング~マウイの想い出」ですが、配役が山田太一ドラマの常連は出ていません。「それぞれの秋」で熱演した小林桂樹が出演しているくらい。
この小林桂樹が実に良い味を出し、名取裕子と絶妙な掛け合いを見せています。
テーマは「結婚」と「家族」。この使い古されてきたテーマを、面白い設定と視点から描いていて、山田太一の異色作であり、隠れ傑作と呼びたいと感じているのです。