「いのちぼうにふろう」は、1971年9月11日に公開された日本映画。監督は小林正樹。
これまで小林正樹が監督した映画で私が見たのは「美わしき歳月」「人間の条件」「切腹」「上意討ち 拝領妻始末」「怪談」です。
いずれも、並々ならぬ映画力を感じさせる傑作でした。
そのため、今回の「いのちぼうにふろう」も、見てみることにしたのです。 この記事の続きを読む
「いのちぼうにふろう」は、1971年9月11日に公開された日本映画。監督は小林正樹。
これまで小林正樹が監督した映画で私が見たのは「美わしき歳月」「人間の条件」「切腹」「上意討ち 拝領妻始末」「怪談」です。
いずれも、並々ならぬ映画力を感じさせる傑作でした。
そのため、今回の「いのちぼうにふろう」も、見てみることにしたのです。 この記事の続きを読む
映画「雨あがる」を見たのは2回目です。前に鑑賞した時よりも、強い感銘を受けました。
なぜでしょうか? おそらくは、私自身が少しだけ成長したからだと思われます。そして、今の私の心境にピッタリの映画だったのでしょう。
黒澤明は山本周五郎を愛した映画監督です。
「赤ひげ」は山本周五郎の「赤ひげ診療譚」が原作。「椿三十郎」は山本周五郎の「日日平安」が原作。「どですかでん」は山本周五郎の「季節のない街」が原作。
そして、この「雨あがる」は黒澤明が脚本を書いていて、山本周五郎の「雨あがる」が原作となっています。
ご存知の通り、この「雨あがる」は黒澤は監督していません。黒澤明の死後に、その意志を継いだ、小泉堯史が監督しました。
映画「雨あがる」は、2000年1月22日に公開された日本映画です。
主演した寺尾聰が、独壇場とでも表したいほどの名演技を披露しています。
殿様役を演じた俳優が、どこか三船敏郎に似ていると思ったら、三船敏郎の息子である三船史郎という役者でした(笑)。
映画の内容ですが、山本周五郎らしい、浮世離れした好人物を主人公に展開されます。この主人公の境地こそ、ひょっとすると、私が求めている世界かもしれません。
二十代の頃、私はむさぼるように山本周五郎の小説を読みました。私が生涯において、もっとも熟読かつ多読した作家が、山本周五郎なのです。
「現実には、こんな人物など、いるはずがない」と、「雨あがる」を見ても、また「椿三十郎」を見ても思います。しかし、こんな人物に慣れたら、どんなに良いだろうか、と痛感するのですね。
憧れるというより、痛感です。なぜなら、ああした聖人、突きぬけた者を持った心の広い人物には、ほぼ成れないと感じるからです。
「人間とは、かくも高潔な存在であったのか」、自分も私利私欲を捨て、もっと大らかに生きたいと、映画を見ながら、切に願わざるを得ません。
こうした映画を見ると、心が晴れやになれます。爽やかな風が心を吹きすぎてゆくのを感じます。
しかし、この侍とその妻のように生きるには、どれほどのものを捨てなければいけないか。
どれほど、人の哀しみを知らねばならないか。そして、どれほど人を自然を慈しみ、生きとし生けるものを愛し続けなけれなならないのか……それについて、真剣に考えている自分自身を見つけて、ハッとしたのでした。
ただ、優しい、温かい映画ではない。そこには、深い哀しみが滲み、厳しい生き様が息づいている。ここまで見る者に感じさせ、考えさせる、この映画の清らかな力に、素直に感謝したいと思います。
映画「白と黒」を、初めてアマゾンビデオで鑑賞しました。名作とまでは評価できませんが、最後まで楽しめるエンターテインメント映画です。
「白と黒」は1963年4月10日に公開された、サスペンス・ミステリー映画。監督は堀川弘通。
最大の見どころは、仲代達也、小林正樹、大空真弓、乙羽信子、淡島千景、西村晃など、昭和の名俳優たちの安定した演技力でしょうね。本当に昭和の俳優たちの演技力はレベルが高かったと今さらながらに思います。
主役から脇役まで、演技力のない人は一人もいません。きっちりと自分に与えられた役を演じきっています。これは当たり前のようですが、本当に素晴らしいことだ実感しました。
次の見どころは、橋本忍のオリジナル脚本。二転三転するクライマックスからラストまでは、濃厚なサスペンスを堪能できます。
次は、村井博の撮影。深みのあるモノクロの映像は物語の内容にジャストフィット。主人公の仲代達也の心理描写において、カメラアングルが大きな効果を上げていて、カメラマンの確かな力量も作品の質の向上に貢献していると感じました。