「美わしき歳月」という映画をご紹介。
当ブログで何度かご紹介している小林正樹が監督した映画。
時代劇を三作品ご紹介したことがありますが、今回は現代劇です。
数分前に鑑賞し終わったのですが、ほぼ全編に渡って泣いておりました。
無性に泣けてなけて仕方がなかったのです。
映画を作品として感動したから泣いたのか、わかりません。
映画「美わしき歳月」は1955年に公開された日本映画です。
主演は木村功と久我美子。
監督は小林正樹ですが、あの「人間の條件」「切腹」などを撮った監督の作品とは思えません。
ただ、映像感覚に優れていて、シーンとシーンのつなぎ方に才能を感じました。
この映画の優れている点はいくつもあります。
青春を終えて現実の重さに苦しんでいる、全く異なるキャラの3組の男女を巧みに描き出している。
実は、この映画の本当に優秀な点は、3組の男女を眺め年配者の存在が実に効いているのです。
久我美子の祖母、木村功の父親、会社の社長などが、作品に幅と深みを与えています。
こういう群像劇の描き方もあるのかと、眼を洗われるような発見がいくつもありました。
最後に申し上げたいのは、小林正樹という監督の素晴らしさです。
数々の傑作を生みだした名匠ですが、この「美わしき歳月」を観て、私の中で、小林正樹監督の評価がまた一段階上がりました。
年代を問わず、一人でも多くの方に見ていただきたい隠れ名作です。