映画「非行少女」をご紹介。

 

「非行少女」(ひこうしょうじょ)は、1963年に公開された日本映画。

 

監督は「キューポラのある街」で有名な浦山桐郎である。

 

名作として広く知られる「キューポラのある街」に負けない映画としてのパワーを持つのが、今回取り上げる「非行少女」だ。

 

第3回モスクワ国際映画祭に出品され、金賞を受賞しているが、受賞して当然であろう。

 

映画「非行少女」の原作は、森山啓の小説「三郎と若枝」である。

 

主演は、浜田光男と和泉雅子。しかし、日活が得意とする明るい青春映画ではない。

 

時には目をそむけたくなるほどの陰惨な運命が描かれる。過酷な環境に押しつぶされそうになる少女の生活と心理を生々しく表出。

 

そのリアルなタッチがこの映画の特徴だ。

 

内容は「若者の成長記録」であるが、そんな言葉では語りきれない、重いテーマをこの映画は内包している。

 

時代、生い立ち、生活環境など、少女の運命はあまりにも過酷だ。

 

せめてもの幸いは、いや、最大の幸運は、若い二人の男女は愛し合っていたことである。

 

エンディングで描かれた、若者の克己心、それが「キューポラのある街」にも通じる、浦山桐郎監督のライフテーマではないだろうか。

 

ひたむきに成長しようとする若者の魂は、穢れがなく崇高でさえあった。

 

もっと多くの人に知られるべき佳作であり、アマゾンプライムでも見られるので、機会あるごとに、この「非行少女」をオススメしてゆきたい。