映画「愛を読む人」をアマゾンプライムで鑑賞。映画「愛を読む人」は、2008年に制作されたアメリカ・ドイツ合作映画です。監督はスティーブン・ダルドリー。

 

 

主演女優のケイト・ウィンスレットが、第81回アカデミー賞の主演女優賞を受賞。

 

心の準備ができていなかったせいもあるかと思いますが、おそらくは初めて、映画を見て意味がわかりませんでした。

 

意味がとれないのです。途中から、??という感じになってしまった。途中をスキップしたわけでもないのに……。

そのため、ネットで情報を収集し、もう一度見ています。2回目の途中で、この感想文を書き始めました。

 

映画「愛を読む人」は、1995年 に出版されたベルンハルト・シュリンクの小説「朗読者」を原作としています。

 

意味がよくわからないのでは仕方がないので、即ネットで原作の「朗読者」を注文しました。

 

もちろん、原作を読む価値がる映画だと直感したからです。

 

「意味がわからなかった」と言いましたが、わからなくても映画としての手応えは充分です。

 

ディテールの描き方が実にていねいで、リアリティーがある。1958年に主人公の二人は出逢うのですが、その時代の雰囲気がよく出ていました。

 

戦争映画でありながら、登場人物の着ている服が新しくて興ざめしたことがあるのですが、この映画「愛を読む人」は、レンガ、コンクリート、鉄、土など、素材(マチエール)の質感を大事にしていますね。

 

これだけディテールとマチエールにこだわった映画は、初めてでした。

 

この映像への執着心をまず評価しました。

 

それと、心理描写です。これは紛れもなく心理劇です。

 

心の襞(ひだ)を、映画のテンポやリズムを完全に無視して、繊細かつ細密すぎるくらいに描出している。

 

その描き方が純粋なのです。

 

文学でいうなら、この「愛を読む人」は純文学です。エンターテインメント性を限界まで抑制しています。

 

性描写だけにエンタメ性があるといえばあるのですが、他の描写があまりにもストイックなので、露骨な性描写があることで救われるくらいなのでした。

 

やはり、性描写はエンタメ的に入れたわけではなく、作品としてのバランスをとる上で、またあまりのも禁欲的な生き方をしたヒロインの人生をリアルに描くために、どうしても必要だったのでしょう。

 

ともあれ、原作の小説「朗読者」が届くのが待ち遠しい。読み終えたら、また感想を書きますね。