幻の名作映画と呼ばれてきた「黒部の太陽」が、よくやくDVD化されたので、さっそく、ブルーレイの方を購入し、鑑賞しました。
久しぶりに、胸おどる気持ちで、ディスクをデッキに差し込んだのですが……
世界の三船敏郎と大スターの石原裕次郎が共演しているのは知っていました。夢の共演が実現した映画なわけですが、映画作品としての完成度は決して高くない気がしました。
映画は映画館で見て欲しいと石原裕次郎は語ったそうです。確かに、そのスケールの大きさを味わうためにも「黒部の太陽」は、映画館で見るべきかもしれない。
しかし、大型画面のテレビで見たら感動できないという作品は、本当に優れた映画だとは言えないというのが私の考え方です。なぜなら、映像はしょせんは現実でなく、映像はあくまで人々の想像力を刺激するものだからです。
たとえ小さな画面で見ても、想像の翼を存分に広げさせられてしまうのが、名作映画の特質だと考えます。
その意味で「黒部の太陽」は、偉大なる凡作というべきでしょうか。黒部第四ダム建設という難事業を、映画化するという、とてつもない企画、それは素晴らしいのですが、なぜか、深い感銘を受けませんでした。
断じて、駄作とはいいたくありません。でも、名作と呼ぶには、人間劇としての深さが足りないと感じました。
レビューサイト(掲示板)を読んできましたが、意外と評価は高いようです。やはり、こうした映画を作ること自体への敬意の念がはたらいていると想像できます。
作品として秀逸でなくても、こうした大作が、かつて日本で撮影されていたことは知る価値があります。
時間のある時に、一度は見ておいて、損はないでしょう。