当ブログ「美しい言葉」の目的のひとつに「言葉力」の再発見があります。
長い間、言葉文化は衰弱するばかりで、文学などという言葉は死語になってしまったかに見えます。
そうした現状の中で、言葉の魅力を再発見しようとすることは、少なからず、空しさがともなうものです。
ところが、こうしたネガティブな状況とは裏腹に、あるジャンルの言葉文化(言葉で表現する形式)が、ブームに近い状態で盛り上がっていることをご存じでしょうか?
それは「川柳」です。
もちろん、ブームと呼ばれるほどの活況を呈しているは、マスコミや企業の仕掛けの影響もあるでしょう。
しかし、川柳ほど、読む人も、作る人も楽しんでいる、そして大いに盛り上がっている表現形式はないと思われるのですが、いかがでしょうか。
現在、盛んな川柳は、どうやら、以下の4つの分類されるようです。
サラリーマン川柳
シルバー川柳
オタク川柳
女子会川柳
Webサーフィンしていると、様々な川柳に出逢い、思わず体が動くほどの強いインパクトのある作品も珍しくありません。
実に「おもしろ、哀しい」川柳が多く、泣いたり、笑ったりで、止まらなくなってしまうほどです。
では、今日は4つのジャンルのうち、サラリーマン川柳とシルバー川柳の気になる作品を、Webから拾い出してみましょう。
サラリーマン川柳
先を読め 読めるわけない 先がない
一戸建 手が出る土地は 熊も出る
「パパが・いい!」 それがいつしか 「パパは・いい」
シルバー川柳
ワシ3高 血圧、血糖 尿酸値
このごろは 話も入れ歯も 噛み合ず
妖精と 呼ばれた妻が 妖怪に
川柳が流行っている理由
川柳がここまで盛り上がっている時代もないように思われます。しかし、どうして川柳がブームになってしまったのでしょうか。
おそらくは、時代はいまだかつてないほど、閉塞しているからだと思われます。息苦しい状況、先が見えない現状を、笑いと風刺と皮肉、そして、自虐ネタで、やりすごそうとしているのかもしれませんね。
川柳ブームが、真の意味での「言葉力」の復活を示しているのかは疑問です。
しかし、川柳ブームの主役は庶民であることは痛快です。川柳には、心を動かすより先に、体を揺さぶるパワーがあることは間違いありませんね。