岡本喜八監督の映画」血と砂」を見ました。2度目の鑑賞となります。

 

最初に見た時に感想を書かなかったのですが、それがいけませんでした。

 

映画の中にちょっとありえない楽団(少年軍楽隊)が出てくるのですが、同じく岡本喜八監督の映画に同様の楽団が出ていた気がしてしかたがなかったのです。

 

この映画は岡本喜八監督の異色作「独立愚連隊」の第7作目にあたるそうです。このシリーズの第1作目の「独立愚連隊」を見た時、非常に面白かったのを覚えています。

 

で、結局、ちょっとありえない少年軍楽隊が出てくるのは、この「血と砂」だけですね。

 

この機会に感想を書いておかないと、記憶がごちゃごちゃになりそうなので、ブログにアップしておくことにしました。

最前線に送り込まれた少年軍楽隊が繰り広げる、ハチャメチャ反戦映画

 

この「血と砂」は、実に見どころの多い映画です。満載された見どころについていろいろ語りたいのですが、まずは、状況設定と人物設定の面白さ。

 

この作品を成功(魅力ある映画に)させている最大の要因は、何といっても、第二次世界大戦の末期、中国(北支)の最前線に、この「ちょっとありえない少年軍楽隊」を登場させストーリーの中心に据えたことにあります。

 

慰問を義務とされる少年軍楽隊に武器を持たせ、戦闘、即ち、殺し合いをさせようという無理難題な設定が、この映画のハチャメチャさを誘発し、コミカルに戦争の中の人間の真実を浮き彫りにしているのです。

 

少年軍楽隊が演奏する曲は、なんとジャズが中心。オープニングとラストに演奏されるのは「聖者の行進」。

 

ハイテンポなジャズのリズムが映画のリズムとなり、小気味のいい喜劇タッチの映画を物の見事に構築しています。

 

佐藤允と伊藤雄之助が、三船敏郎、仲代達也を喰うほどの演技力と存在感を披露

 

豪華キャストも、この映画の魅力のひとつ。何しろ、三船敏郎と仲代達也がふつうに共演。

 

それにもまして印象深いのは、佐藤允(まこと)の生き生きとした表情と躍動感です。

 

そして、棺桶屋というユニークな役回りで、この映画に欠かせない存在として実に効いていたのが、伊藤雄之助

 

伊藤雄之助、三船敏郎、仲代達也は、黒澤明の「椿三十郎」にも出ていましたよね。

 

さらには三船敏郎を愛する、慰安婦役を演じた団令子。濃厚なエロスを醸し出しつつも、乙女のような純真さをもつ慰安婦を熱演し、主役に近い存在感を示していました。