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「五里霧中(ごりむちゅう)」は「方針や計画が立たないことを表す熟語」。
しかし、わけがわからずに無我夢中になってしまうという意味を想起するためか、ついつい「五里夢中」と書き誤ってしまう人が多いようです。
「霧」と書くべきところを「夢」と書いてしまうため、「五里霧中」も間違いやすい日本語のひとつに数えられています。
まあ、日常生活では「夢中」はよく使いますが「霧中」はほとんど使いませんからね。
でも、「五里霧中」を「五里夢中」と書いてしまう間違いも、言葉の意味を正確に知っておけば防げますので、この機会に覚えておいてください。
「五里霧中」の出典は「後漢書」の「張楷伝」です。
後漢中期、張楷という学者がいました。張楷は仙術に通じており、五里四方にもわたる深い霧を湧き立たせることができたといいます。
「張楷伝」には「斐優は三里霧を起こすことができたが、張楷は五里霧を起こすことができた」と記されているのです。
中国では、一里の長さは時代によってかなり差があるので、五里霧がどれくらいの深さがあったかは定かではありません。しかし、相当に深い霧であったことは容易に想像できます。
ともあれ、方針や計画が立たないことを、張楷の仙術による五里霧の中に迷い込んだように先が見えない、と例えて表現したのです。
この「霧」にまつわる話を知れば、今後は「夢」と書き間違えることはないでしょう。