文化庁は25日、令和元年度の「国語に関する世論調査」の結果を発表した。
調査は国語への理解や意識を深めるため、平成7年度から毎年実施しており、今回は16歳以上の男女1994人が回答した。
「浮足立つ」の正しい意味を知らない人が、60.1%にも
落ち着かずそわそわしている様子を示す「浮足立つ」の意味を、本来の「恐れや不安から」ではなく、「喜びや期待から」と思っている人の割合が60・1%に上った。
調査によると、「浮足立つ」の本来の意味を理解しているのは26・1%にとどまり、特に20~30代は本来と異なる意味の方を回答した割合がいずれも7割を超えた。
「『浮足立つ』は『うきうきする』『浮かれている』などの言葉の印象に引っ張られて変わってきたのではないか」と担当者は言う。
「敷居が高い」を誤用している人が、56・4%
「敷居が高い」や「手をこまねく」も、5割前後が本来の意味とは異なる使い方をしていた。
「敷居が高い」の意味も、本来の「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」ではなく、「高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい」と思う人の割合は56・4%に達し、同じ質問をした20年度の調査と比べ10ポイント以上増えた。
担当者は『敷居が高い』は、現代では不義理などの感覚自体がなくなってきて変わった可能性がある」と説明。今では「敷居が高い」は、一部の辞書に新しい意味の方も記載されているという。
「手をこまねく」の意味を間違えている人は、47・4%
「手をこまねく」を本来の「何もせずに傍観している」ではなく、「準備して待ち構える」とした割合も47・4%となった。
このほか、本来とは違う言い方をされることが多い慣用句の事例で「前に負けた相手に勝つこと」を「雪辱を晴らす」と思う割合が50・5%に、「今までのことを改め、最初から始めること」を「新規まき返し」と思い込んでいる割合も44・4%に上った。