うちょうてん」という言葉は「喜びで気分が舞い上がっている」という意味で、日常でも使いますよね。

 

では、「うちょうてん」を漢字で書いた場合、以下の2つでは、どちらが正しいか?

 

有頂天

×有頂点

 

「有頂天」が正しい日本語で「有頂点」は誤記。

 

ただ、その理由を説明しようとすると難しい。

 

「有頂天」はもともとは仏教用語なのです。

 

goo辞書は「有頂天」を以下のように説明しています。

 

有頂天(うちょうてん)

 

1 色界 (しきかい) の中で最も高い天である色究竟天 (しきくきょうてん) のこと。形ある世界の頂。阿迦尼吒天 (あかにだてん) 。

2 色界の上にある無色界の中で、最上天である非想非非想天 (ひそうひひそうてん) のこと。

 

これでは、さっぱり、何のことかわかりませんよね。

 

仏教では、私たちの迷いの世界を三つに分けて三界(さんがい)と呼びます。三界とは、欲界(よくかい)、色界(しきかい)、無色界(むしきかい)の三つの世界のこと。

 

三界の最高位にある非想非非想処天(ひそうひひそうしょてん)のことを、仏教で、有頂天というのです。

 

三界の中で最上の場所である無色界の最高天、非想非非想天が、全ての世界の中で最上の場所にある(頂点に有る)ことから、有頂天という。

 

三界は、有(う)ともよばれるので、その頂上にあるこの「天」が、有頂天と呼ばれます。

 

ここまでの説明をお読みになって、ご理解いただけましたでしょうか。

 

実は「天」という仏教用語の意味を、どうしても知っておく必要があります。

 

というか、仏教には「天」という言葉が存在し、極めて重要な意味が込められていることを知れば「天」を「点」と書くことあり得ないと知ることになるのです。

 

「天」についての解説を、Wikipediaから抜粋してみましょう。

 

「天」とは、生が生死流転する六道のうちの最上部にある世界のこと生が生死流転する六道のうちの最上部にある世界のこと。

 

「天」は、この地上から遙か上方にあると考えられている。六道のうち、天は最も苦悩の少ない世界であり、最高最勝の果報を受ける有情が住む清浄な世界。

 

以上の「天」の意味を理解できれば、「有頂天」が「得意の絶頂であること。何かうまくいった時に、喜びで我を忘れている」という意味に使われるようになったことを納得できるでしょう。

ですから、「有頂点」は日本語として間違いで、「有頂天」が正しいのです。