- 投稿 更新
- 日本語 - 敬語の正しい使い方
例えば家電の量販店のチラシに「最新のテレビがさらにお求めやすい価格になりました」と書かれていたら、それは日本語の使い方として間違っているのです。
「お求めやすい価格」という表現を、意味をかえずに、正しく書き直すと以下のようになります。
「さらにお求めになりやすい価格になりました」
「さらにお買い得になりました」
「お求めになりやすいお値段です」
文法的にご説明しましょう。
形容詞の「~やすい」は、動詞の連用形について「とかくそうなる傾向がある、そうなりがちだ、…するのが容易だ、…するのが簡単だ、などの意味を表します。
「風邪をひきやすい」「間違いやすい」「歩きやすい」「見やすい」「話しやすい」「読みやすい」などなど……。
しかし、この「~やすい」は名詞には接続しないのです。「求め」は「求める」の動詞連用形で、名詞となります(名詞化します)。
ですから、名詞にはつかない「~やすい」を名詞である「求め」につけ、その頭に「お」をつけても正しい敬語にはなりません。
ところが「お求めやすい」という表現はしばしば使われるために、大きな違和感は覚えないという人も多いでしょう。
しかし、他の語を「お~やすい」という形にしてみると、わかりやすくなりますよ。
「お~やすい」という形の誤用例
「始めやすい」→「お始めやすい」
「走りやすい」→「お走りやすい」
「入りやすい」→「お入りやすい」
「書きやすい」→「お書きやすい」
これらからは、すぐに不自然さが感じとれるでしょう。
「動詞+やすい」に「お」をつけることはできません。
で、間違った敬語表現をしないための対策をご紹介しましょう。
動詞の尊敬表現「お~になる」にしてから「やすい」付けると自然で正しい日本語になりますよ。
「お始めやすい」は誤用で「お始めになりやすい」が正しい尊敬表現。その構造は「お始めになる+やすい」となっているのです。
要点をおさらいしますね。
「お求めやすい」は誤用。
「~やすい」は動詞に接続くもので、名詞にはつきません。
「お求めやすい」は動詞の尊敬表現である「お~になる」という形、「お求めになる」にしてから「~やすい」をつけるべきです。
したがって、「お求めになりやすい」が正しい敬語表現だと言えます。