「若者たち」三部作の三作目である「若者の旗」は、1970年に公開された。
出演者は以下のとおり。
佐藤太郎:田中邦衛
佐藤次郎:橋本功
佐藤三郎:山本圭
佐藤オリエ:佐藤オリエ
佐藤末吉:松山政路
戸坂:石立鉄男
町子:夏圭子
チエ:山口果林
映画「砂の器」の山口果林ではない、別人が「若者の旗」にはいた。
「若者たち」三部作で共通するのは、人間の強さと弱さを、強烈に描いていることだ。
平穏な日常はこの映画では、ほとんど描かれない。
特に、人間の弱さの描出は、激しく、生々しく、そして、人間愛にあふれている。
「若者の旗」だけに出演している山口果林は、弱さの象徴のような役を演じている。
この時の山口果林は、ハッとするほど美しかった。
スピーディな物語展開が、作品の重苦しさを軽減している。
「若者たち」「若者はゆく」「若者の旗」に共通するのは、目まぐるしい場面転換である。
次々に事件が起き、人と人とが感情をぶつかあう。
濃密なドラマ、湿気を大量に含んだ感情の吐出、それらはともすれば、重苦しい感じになりがちだ。
しかし、そうならないための技巧はほどこされている。とにかく、このドラマは速いのである。
感傷に浸ったり、どっぷりと落ち込んでいるヒマを、この映画は与えてくれない。
マシンガンのように繰り出される、ドラマの雨あられに、両足を踏ん張って耐えなければいけないのだ。