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フランキー堺が主演した映画「私は貝になりたい」を見た感想。

今回はフランキー堺が主演した映画「私は貝になりたい」を取り上げます。

先日、フランキー堺が主演した映画「幕末太陽傳」見ました。

フランキー堺の演技があまりにも素晴らしかったので、同じくフランキー堺が出ている映画を見たくなり、今度は「私は貝になりたい」(1959年版)を鑑賞した次第です。

以前、テレビドラマの「私は貝になりたい」(1958年版)を見て、確かな重量を感じたのですが、今回鑑賞した映画の方もなかなかのものでした。

映画「私は貝になりたい」(1959年版)は、元陸軍中尉・加藤哲太郎の手記「狂える戦犯死刑囚」の遺言部分をもとに、映画化された作品。

映画の内容は脚本を担当した橋本忍の創作で、実話ではありません。ドキュメンタリー映画ではないのですが、まるで実話のような切実さが伝わってきます。

黒澤明映画の脚本をしばしば担当している橋本忍が、映画監督としてデビューした作品が、この「私は貝になりたい」(1959年版)です。

フランキー堺が主演した「私は貝になりたい」は、テレビドラマ版と映画版と2作あります。いずれも、アマゾンビデオで鑑賞可能です。

どちらか一方を見たい場合、映画だけを見れば良いでしょう。

どうしても2作を比べたい人は別ですが、両方とも見てみた私の主観ですと、映画がドラマよりも劣っている点はないと思います。

映画の方が、映像もきれいですし、丁寧に作られている上、何よりも、キャストが豪華です。

主人公の妻役を、新珠三千代が演じています。芸達者でしかも華があるので、感情移入しやすいのです。

そして、神父の役を、あの名優・笠智衆が演じています。

さらには、黒澤明の映画に何作も出演している藤田進が、フランキー堺の上官を演じ、渋い味を出していたのが印象に残りました。

死刑を宣告された後に、家族に宛てた手紙の中で語る主人公の言葉は、忘れることはできません。

以下、フランキー堺が語る言葉の一部を引用しおきましょう。

房江、健一、直子、さようなら……
お父さんは、もう二時間ほどで死んで行きます。
お前達とは別れ、遠い遠いところへ行ってしまいます……

もう一度会いたい……・
もう一度みんなと一緒に暮らしたい……
許してもらえるのなら、
手が一本、足が一本もげても、
お前達と一緒に暮らしたい。
でも、もうそれは出来ません。
せめて、せめて生まれ変わることが出来るのなら……

いえ、お父さんは生まれ変わっても、もう人間なんて厭だ、
こんなひどい目にあわされる人間なんて……
牛か馬のほうがいい……いや、牛や馬なら、
また人間にひどい目にあわされる……
いっそのこと、誰も知らない、深い、深い、
海の底の貝……そうだ、貝がいい。

深い海の底なら、戦争もない、兵隊もない、
房江や健一、直子のことも心配することもない。
どうしても生まれ変わらなければいけないのなら、私は貝になりたい。

主人公の言葉が、戦争の否定だけでなく、人間の否定にまで及んでいるところに、絶望の深さがうかがわれます。

見終った後、重い鉛の球を受け取ったような気持ちになりました。

戦争の悲惨さ愚かさを、声高に反戦を語るのではなく、主人公の心理の変化を丹念に描くことで象徴化したこと、そこにこの映画の価値があると思います。

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