今回は柳澤桂子短歌をご紹介。

 

柳澤桂子(1938年1月12日生まれ)は、日本の生命科学者、サイエンスライター、エッセイスト、歌人、お茶の水大学名誉博士。

 

31歳から難病に苦しめられ、現在に至る。

医療問題・生命科学へアプローチした執筆活動を行う。病の淵より深く洞察したそのアプローチから、2004年上梓された『生きて死ぬ智慧』(小学館)は80万部を超えるベストセラーとなった。

 

以下の一首は、齋藤孝の「心の琴線にふれる言葉」にて掲出された。改行は斎藤孝の著書に準拠。

 

日めくりを一枚めくる

私のいのちをめくる

萩はそよぎて

 

まさに今の私自身、日めくりを魂を込めて一枚いちまいめくるように生きたいと願っている。

 

長い間、難病に苦しんできた柳澤桂子だからこそ「いのち」という言葉が説得力を持ち安いのだろう。

 

私自身は、難病指定は受けていないが、断続的に大病で倒れてきているので、「いのち」への思いは強いほうだ。

 

「日めくり」と「いのち」という二語が入っているだけで、今の私には大きな意味を持つ。

 

私は柳澤桂子の歌集を持っていない。アマゾンで調べたが、すべて絶版になっていた。

 

古本を買うかはともかく、まずは以下、インタネットでヒットした柳澤桂子の短歌をご紹介しておくことにする。

 

けものなら死ぬであろうに人ゆえに医学によりて生きて苦しむ

 

マンモスの牙のごとくに伸びてゆく科学技術が人を滅ぼす

 

氷枕に頭痛をゆだね目をつぶる月をちぎって食べてしまおう

 

生きるという悲しいことをわれはする草木も虫も鳥もするなり

 

まぎれなく私に父と母がいた満月のようなまあるい記憶

 

生き抜かん強き思いはめらめらと宙にひろがる無限の炎