世界一美しい五月になる~風花未来の詩72

今日の風花未来の詩は「世界一美しい五月になる」です。

 

  • 風花未来が、風花未来の詩について動画で語りましたので、ぜひとも、ご視聴ください。

 

⇒【動画】風花未来が自身の詩について激白!

 

世界一美しい五月になる

 

今年の五月は

世界で一番

美しい季節になる

 

この世で一番

と言ったらいいのかな

私にとっては

 

なぜなら

 

手術は5月の終わりか

6月に行われるので

それまでは

抗がん剤投与が

休止されるのだ

 

今日は4月17日

 

抗がん剤による

手足の痺れは

5月になれば

薄らいでくれるはず

 

だから

今年の五月は

きつく縛られていた

私の感覚を

思いきり解き放てるだろう

 

さわやかな五月が

あたりまえだった

健康な頃では

ぜったいに味わえない

尊い

かけがえのない

新緑のうるわしさ

陽光のまばゆさを

命のあらゆる恵みを

体全身にゆきわたらせたい

魂の奥の奥まで

沁みとおらせたい

 

6月の手術は

生死を分ける戦闘

 

それまで

五月という歓びの季節に

どっぷりと浸りたい

 

今年の五月は

神の恵み

 

私にとって

一生に一度の季節

 

心の翼をいっぱいに広げて

すべてを受け入れ

何もかもを愛し

呼吸してゆく

 

今この時を

精一杯

生きてゆこう

 

あるがままに

そのままに

森に向かって~風花未来の詩71

今日の風花未来の詩は「森に向かって」です。

 

  • 風花未来が、風花未来の詩について動画で語りましたので、ぜひとも、ご視聴ください。

 

⇒【動画】風花未来が自身の詩について激白!

 

森に向かって

 

待ちに待った

新緑の季節が

やってきた

 

全身で

春の息吹を

浴びようと

森の見える公園に

やってきた

 

だが しかし

はつらつとした

生命体の息吹を

感じとるには

私の皮膚感覚は

壊れすぎていた

 

両脚のしびれは

半端なく

よぼよぼと

歩くのが精一杯

 

頬をなでる

そよ風の心地よさを

期待していたが

頬までも

こわばっていて

春風を優しく

向かい入れられなかった

 

抗がん剤

 

その副作用が

容赦なく

私の五感をしめつけ

人らしく

伸びのびと

生きようとする

まっとうな意欲さえも

圧し潰そうとしてくる

 

私は力なく立ち止まり

茫然と快晴の空を

見上げるしかない

 

1分 2分 3分

5分 10分 20分

 

身動きもせず

空を見上げていると

 

瑠璃色の空から

降ってくる陽光が

痺れすぎた皮膚を

通り抜け

突き抜け

私という命の正体を

照らし出しはじめた

 

一年前の

今頃は

どうだったから

 

病気の

自覚症状もなく

余命3ヶ月宣告も

受けていなかった

 

でも

体中がしびれて

自由に動けない

今の方が

心は

余計な虚飾を

脱ぎすてられたので

自分らしく

自由に

あるがままでいられる

 

つまり

自在に動けた一年前より

今の方が

幸せなのだ

 

私は金縛りを解くように

思いきり身震いした

 

片足を踏ん張り

大きく息を吐いてから

 

芽吹いた森に向かって

ゆっくりと

歩きはじめた

愛は見えますか~風花未来の詩70

今日の風花未来の詩は「愛は見えますか」です。

 

  • 風花未来が、風花未来の詩について動画で語りましたので、ぜひとも、ご視聴ください。

 

⇒【動画】風花未来が自身の詩について激白!

 

愛は見えますか

 

愛の視力検査を

受けたことはありますか

 

そんなものは存在しないだろうけれど

誰かが考案していそうな気もする

 

それくらい

愛は見えにくいし

測りにくい

 

愛について

余命3ヶ月の宣告を受けてから

抗がん剤の副作用に

苦しむようになってから

真剣に考えるようになった

というより

生々しく

愛を感じ取れるようになった

 

愛することは苦しいが

それ以上に素晴らしい

 

愛し過ぎる時は

愛されたいと

強く希求してしまう時は

苦しくて身悶えしてしまう

 

今の私はといえば

報われない愛の苦しみより

愛させてもらっている

歓びの方が

尊く

深く

大きいことに

ようやく気づけた

 

相思相愛ならば

幸せかといえば

そうでもない

絶妙なバランスを

長きにわたって保ちえる

相思相愛も珍しい

 

時間という残酷な仕打ちである

予期せぬ変化にも負けず

永遠の輝きを放ちつづける

愛はこの世に見出すことは難しい

 

愛し過ぎても

愛が足りなくても

二人の平衡はくずれる

 

だが

今は

なぜか

「愛は怖くない」と

言ってしまえそうだ

 

愛は見えますか

愛せてますか

 

と問われたら

私はこう答える

 

愛は静止画のように

クッキリとは

見えないけれど

感じとることはできる

毎日

確かに

愛を感じて生きている

 

愛に対する

不安や恐怖が

まったく無くなったわけではないけど

何をおいても

愛そうと思うし

実際に今も

愛している

 

「愛するのが怖い」と

ちゅうちょしている人へ

 

そして

長い道程の果てに

「奇跡の愛」

その成就を

切望している

私自身へ

 

厳しすぎる状況であっても

愛すれば良い

たとえ報われなくても

いや

愛せている時点で

報われているのだから

愛すれば良い

 

愛して

愛して

愛しぬけばいい