映画「妻の日の愛のかたみに」は、歌人である池上三重子の実人生を描いている。

映画「妻の日の愛のかたみに」は、1965年に公開された日本映画である。

 

監督は富本壮吉。脚本は木下恵介。主演は若尾文子と船越英二。

 

映画「妻の日の愛のかたみに」はこちらで視聴可能です

 

脚本が木下恵介ということだが、この映画の監督が木下恵介と言われても私が疑わなかっただろう。

 

それほど、抒情あふれる見事な演出が見られるからだ。

 

アマゾンの評価レビューで、見事なコメントが書かれていたので、ご紹介。

 

「福岡県柳川の水路を行く木舟、花嫁姿の若尾文子の御披露目風景が実に風情を伝え、ありし日の日本の美、懐かしき郷愁をかきたて、印象深いオープニングです」PANCHOさんの発言

 

映画の中で、短歌が効果的に朗読されるが、木下恵介の名作「野菊の如き君なりき」でも短歌がたびたび朗読されており、同じ演出なのである。

 

池上八重子の短歌は、魂にまで沁みわたる。

 

来世あらば 身健よかに 夫(つま)に添わん 碧(みどり)明るき 空に柿照る

 

※この「つま」という言葉は、古事記・万葉集時代から使われており、男女の一方から見た相手の呼び方。夫婦が互いに相手を呼ぶとき(第三者が呼ぶときもある)に使う言葉。むかしは男女の区別なく、夫も妻も両方ともお互いを「つま」と呼んだのです。引用元:夫も「つま」、妻も「つま」

 

思いきり 奪われてみたし わが体 すこやかな日の 夜の如くに

 

ひんぱんに登場する、物語の舞台となる街の水路が哀しくも美しい。

 

この映画に水路が映されていなかったら、名作足りえなかったのではないかと思うほどだ。

 

ひょっとすると、水路がこの物語の主人公なのかもしれない。

 

この映画「妻の日の愛のかたみに」について、全く知らなかった。

 

この映画の主人公のモデルである、池上三重子という歌人の存在も知らなかった。

 

この映画はフィクションではなく、実話なのである。

 

この映画「妻の日の愛のかたみに」は、池上三重子の実人生を描いた作品である。

 

さっそく、池上三重子の著書「妻の日の愛のかたみに」をアマゾンで注文してみた。着くのが楽しみ。

 

映画鑑賞を深めるには、基礎知識として池上三重子の一生について知らなけらばならない。

 

だが、それは、この映画を見終わってから、情報をインプットした方が良いだろう。私もそうだったし……。

 

だから、以下の情報は、いわゆる「ネタばれ」になるため、映画を見終わってから読んでいただきたい。

 

池上三重子さんの略歴

 

1924年福岡県三潴郡大莞村(おおいむら・現大木町)に生まれる。福岡女子師範(現福岡教育大)卒業後、小学校教諭を務め、50年(昭和25年)に結婚、54年〈同29年)30歳の秋に発病、多発性リューマチ様関節炎と診断される。

 

やがて不治の宣告を受け63年〈同38年)に.夫の愛ゆえに妻の座を返上.病床に金縛り同然の身を母キクさんに支えられながら療養生活を続ける.

 

88年〈同63年)たくまざるユーモア精神で終生、池上さんを励ましつづけた母上を105歳で見送る。

著書に.歌集「亜麻色の髪」、「妻の日の愛のかたみに」「わが母の命のかたみ」。夫への清冽な愛を短歌とともに綴った「妻の日の愛のかたみに」は感動を呼んでベストセラーになり、乙羽信子主演でテレビドラマに、若尾文子主演で映画になる。

現在、福岡県大川市の永寿園で療養中。「書くことは生きること、心の平穏を得ること」と「自省抄」と名付けた日録を綴っている。(引用元は「銀座一丁目新聞」)

映画「積木の箱」は増村保造監督の極端な人間の描き方が快感を生む異色作。

映画「積木の箱」は、増村保造監督の独壇場が堪能できる。

 

性格が強調された人間像が、これでもかとばかりに描き出され、それが快感を生んでいるのである。

 

映画「積木の箱」は、1968年に公開された日本映画。

 

主なキャスト

 

川上久代:若尾文子
杉浦悠二:緒形拳
佐々林奈美恵:松尾嘉代
佐々林みどり:梓英子
佐々林一郎:内田喜郎
川上和夫:島田博
佐々林トキ:荒木道子
佐々林豪一:内田朝雄

 

人間の描き方が極端すぎるが、それが増村節なのである。

 

この映画は増村節のこぶし回しが、存分に味わえる。

 

増村保造監督のその他の映画はこちらに

映画「雪の喪章」は、運命に翻弄される哀しい人間たちを描いた文芸作品

映画「雪の喪章」は、1967年に公開された日本映画。

 

監督は三隅研次、主演は若尾文子。原作は水芦光子の同名小説である。

 

映画「雪の喪章」はこちらで視聴可能です

 

若尾文子だけが生き残る。他の登場人物は皆死んでしまう。

 

人が死に過ぎるのではないか、とは思うが、それぞれの人物の運命をきっちり描いているので、人の死を安直に扱っているとは思わなかった。

 

この物語のテーマは「人間の運命」だ。

 

運命に翻弄され、死に絶えてゆく人間たちを、情感ゆたかに描き切っている佳作である。

 

若尾文子ファンならずとも、一度は見ておきたい映画と言えるだろう。