「歩」になる。~風花未来の詩67

風花未来の今日の詩は「『歩』になる。」です。

 

  • 風花未来が、風花未来の詩について動画で語りましたので、ぜひとも、ご視聴ください。

 

⇒【動画】風花未来が自身の詩について激白!

 

「歩」になる。

 

将棋の「歩」に

なるしかない

と思った

 

手術の日が

じわじわと

近づいてくる

 

ここまで来たら

「王将」にも

「飛車」にも

「角」にも

なれない

 

もう大きな駒を

目指したら

生き残れない

そんな気がしてきた

 

「金」も

「銀」も

私には似合わない

そんな高貴な輝きより

もっと地道で

ひそやかなものに

私はなりたい

 

「香車」のような

一気の前進も

「桂馬」のような

鮮やかな

スキップも

できそうにない

 

ああ

もう

「歩」しかないんだ

 

手術の日まで

天使も

スワンも

ホワイト・エンジェルも

姿をあらわさなくても

前に進まないといけない

 

カタツムリの歩みでいい

遅々としていても

少しでも進んでいればいい

 

天使たちと

力を合わせれば

奇跡が次々と起こる

「スワン物語」は

完成でき

癌も完治になり

私自身が

天使にもなれる

そして

「奇跡の物語」を

多くの人たちと分かち合える

 

そう信じた時もあった

 

でも

今は

 

「歩」になり

一歩いっぽ

進むしかない

 

手術という峠越えを

かなえるためには

私が「無」になることが

どうしても必要なのだろう

 

心を「無」にして

空っぽな存在になって

手術に臨みたい

 

そうでないと

峠越えは

無理だろう

 

真っ白な

「歩」の心をもって

前に進みたい

 

一歩ずつ

いや

半歩ずつでも

少しずつ……

 

天使」「スワン」「ホワイト・エンジェル」と言われても「??」と感じられるかと存じます。

 

そこで、「天使」「スワン」「ホワイト・エンジェル」が出てくる詩を、以下にまとめましたので、ご参照ください。

 

天使が出てくる詩をまとめました

祈りの花~風花未来の詩66

今日の風花未来の詩は「祈りの花」です。

 

  • 風花未来が、風花未来の詩について動画で語りましたので、ぜひとも、ご視聴ください。

 

⇒【動画】風花未来が自身の詩について激白!

 

祈りの花

 

春めいた陽気に

誘われて公園まで来て

いちばん嬉しかったのは

 

真っ蒼な空でも

真っ白な雲でもなく

 

小指の先ほどの

小さな花たちを見つけたこと

 

蒼に

白い十字を

くっきり刻んだ

極小の花たちが

ひっそりと

ひかえめに

群生していた

 

豆粒ほどの小さな花が

あの大きな空の蒼と

ゆうゆうと浮かぶ雲の白

その息吹を

けなげに吸い込み

空に向かって

透きとおる声で

命の歌を上げている

 

「蒼」と「白」の合唱

 

曇りなき瞳に光る

命のしずくのような

歓びの歌が

春風を呼び寄せ

陽だまりをつくり

やがて

大空へと舞い上がってゆく

 

「蒼」と「白」の祈り

 

澄みきった空の蒼に

純白の十字線を刻んだ

花たちの祈りが

魂にまで沁み入る

 

蒼と白の

一粒ひとつぶ

それぞれの

ささやかな祈りが

尊い温もりと

無垢な歓びと

穢れなき幸いを

この世にもたらす

 

この詩に出てくる花は、オオイヌノフグリです。

最後に逢えて良かった~風花未来の詩65

今日の風花未来の詩は「最後に逢えて良かった」です。

 

  • 風花未来が、風花未来の詩について動画で語りましたので、ぜひとも、ご視聴ください。

 

⇒【動画】風花未来が自身の詩について激白!

 

最後に逢えて良かった

 

あったかいカフェラテを

飲みたくて

コンビニに入ったら

レジカウンターに

あの少女がいた

 

私に健康祈願のお守りを

くれた女子高生

いや 今は女子大生

 

自分では

ちょっと元気よく

あいさつしたつもりだったけど

思ったような明るい

反応はなかった

 

「今日で終わりなんですよ」

「え?」

「今日で、ここをやめるんです」

「寂しくなるね」

「最後に逢えて良かったです」

 

お互いにマスクをしているので

表情がわからないためか

じっと眼と眼を合わせたまま

いっときも眼を放さないで

言葉をかわしつづけた

 

「元気で」

 

ふたり同時に

同じ言葉を発して

会話はおわった

 

もうすぐ

桜が満開になる

 

「あの少女」が出てくるのは、以下の詩です。

 

お守りをくれた少女~風花未来の詩61

 

桜の季節は、別れの季節でもあるのですね。