今日の風花未来の詩は「祈りの花」です。
祈りの花
春めいた陽気に
誘われて公園まで来て
いちばん嬉しかったのは
真っ蒼な空でも
真っ白な雲でもなく
小指の先ほどの
小さな花たちを見つけたこと
蒼に
白い十字を
くっきり刻んだ
極小の花たちが
ひっそりと
ひかえめに
群生していた
豆粒ほどの小さな花が
あの大きな空の蒼と
ゆうゆうと浮かぶ雲の白
その息吹を
けなげに吸い込み
空に向かって
透きとおる声で
命の歌を上げている
「蒼」と「白」の合唱
曇りなき瞳に光る
命のしずくのような
歓びの歌が
春風を呼び寄せ
陽だまりをつくり
やがて
大空へと舞い上がってゆく
「蒼」と「白」の祈り
澄みきった空の蒼に
純白の十字線を刻んだ
花たちの祈りが
魂にまで沁み入る
蒼と白の
一粒ひとつぶ
それぞれの
ささやかな祈りが
尊い温もりと
無垢な歓びと
穢れなき幸いを
この世にもたらす
この詩に出てくる花は、オオイヌノフグリです。