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「天に星 地に花 人に愛」は、武者小路実篤の言葉です。素晴らしいですね。

 

「天に星 地に花 人に愛」は、言葉の響きも美しく、心が洗われるような名言ですね。

 

武者小路実篤が好んで揮毫(きごう)した言葉として広く知られていますが、実はそのルーツとなる言葉や、実篤がこの言葉に込めた背景など、興味深いエピソードがあります。

 

  1. 言葉の出典とルーツ

 

この言葉は、実篤の小説のセリフなどではなく、彼が晩年(80歳頃から)に多く描いた「書画(言葉と絵)」に見られるものです。

 

実篤はこの言葉を好み、色紙や短冊に、野菜や花の絵と共に書き残しました。

 

ただし、このフレーズには原典(元となった言葉)があると言われています。

 

明治時代の文芸評論家・思想家である高山樗牛(たかやま ちょぎゅう)の言葉です。

 

天にありては星、地にありては花、人にありては愛、この三者につき、世界は最も浄く、最も美しく、最も尊し

 

実篤はこの樗牛の言葉のエッセンスを凝縮し、「天に星 地に花 人に愛」という、よりリズム良く、親しみやすい形へと昇華させたと考えられています。

 

  1. 言葉に込められた意味とエピソード

 

実篤は「白樺派」の中心人物として、一貫して「人間賛歌」や「個性の尊重」を唱え続けました。

 

  • 天には星、地には花

 

自然界において、空を美しくするのは星であり、大地を彩るのは花であるという、絶対的な「美」の象徴です。

 

  • 人には愛

 

それらと同列に並ぶものとして、人間にとって最も美しく、尊いものは「愛」であると説いています。

 

実篤がこの言葉を好んで書いたのは、人生の円熟期を迎えた晩年でした。

 

かつて「新しき村」を提唱し、理想社会の実現に情熱を燃やした彼が、最終的にたどり着いた境地が、このシンプルで力強い「愛」の肯定だったのだと思われます。

 

  1. 作品としての魅力

 

実篤の描くこの言葉には、しばしばカーネーションや椿(つばき)などの花の絵が添えられています。

 

彼が描く野菜や花は、決して写実的で精巧なものではなく、どこか稚拙ささえ感じるほど素朴ですが、それがかえって「生命の喜び」や「飾らない愛」を直接的に伝えてくると評価されています。

 

この言葉は、何か特別な物語の中で語られたというよりも、実篤という一人の人間が、長い生涯をかけてたどり着いた「人生の結論」のようなものと言えるかもしれません。

 

詩心(しごころ)を大切にされる方にとっては、五七調にも似たこのリズムと、宇宙(天)・自然(地)・人間を三位一体で捉える視座に、深い共感を覚える言葉ではないでしょうか。