魔法が解ける日~風花未来の詩62

今日の風花未来の詩は「魔法が解ける日」です。

 

魔法が解ける日

 

2025年3月19日は

魔法が解ける日に

なるかもしれない

 

2週間前に

化学療法室で

天使に

まったく予期せぬ

魔法をかけられた

 

3月19日は実は

今の病院での

抗がん剤投与が

最後になるかもしれない日

なぜなら この日を最後に

他の病院に転院になる

その可能性が高いからだ

 

ということは

天使とも

スワンとも

ホワイトエンジェルとも

もう逢えなくなるかもしれない

 

天使が私にかけた魔法では

私への選択肢が示された

 

私の運命を決める選択肢

 

私が決断を

誤らなければ

 

夢と現実の

境界線が消えて

夢と現実が

いっしょになった

新しい理想の世界を

自分で描き出せるという

 

しかし

その未来の絵を

天使が拒絶すれば

天使は二度と訪れないという

 

そうなれば

化学療法室で

これまで起きた奇跡は

私の記憶からも

消されてしまうと考えたら

血の気が引いた

 

風花の詩でひんぱんに登場する「天使」「スワン」「ホワイトエンジェル」も、一読して「何のこと?」と疑問を抱かれたのではないでしょうか。

 

以下の詩において「天使」「スワン」「ホワイトエンジェル」のそれぞれの意味について、まとめて開示しておりますので、ご確認くださいませ。

 

ホワイト・エンジェル~風花未来の詩50

 

以下は「天使」「スワン」「ホワイトエンジェル」が登場する詩です。

 

※時系列で古い順にご紹介します。

 

スワン~風花未来の詩20

 

天国からの使者~風花未来の詩21

 

天使ふたたび~風花未来の詩32

 

天使が消えた夜~風花未来の詩35

 

眠りの森~風花未来の詩36

 

不思議の国~風花未来の詩42

 

夜明けを待つ~風花未来の詩43

 

奇跡、天使とスワンが……~風花未来の詩45

 

ホワイト・エンジェル~風花未来の詩50

 

愛について、リルケの詩への回答~風花未来の詩51

 

天上界との交信~風花未来の詩53

 

魔法が解ける日~風花未来の詩62

 

神からの試練か~風花未来の詩63

 

「天使」は風花未来の現在の詩想の重要な源泉の一つとなっておりますので、以上の風花未来の詩作品をお読みいただけたら幸いです。

 

3月19日は

決断の日

 

本当の奇跡を起こせるか

奈落の底へと落ちるのか

 

天使の言葉は

意味深すぎた

 

天使の魔法は

深い謎に満ち

天使の言葉には

期待と不安が

入り混じっていて

決断の時が迫れば

迫るほど

不安の方が

大きくなってゆく

 

私が今いちばん怖れるのは

魔法が解けて

すべてが

現実に戻ることなのかもしれない

 

3月19日は

謎が明かされる日

 

化学療法室で

起きたことは

何を意味するのか

 

私のこれからの人生は

どうなってゆくのか

 

天使にかけられた魔法

その甘さと辛さが

私の中で渦巻いている

 

残酷な決断を私に迫る

その一方で

運命を私が私の意志で

決められる

希望を天使はくれた

 

気が遠くなるほど

むずかしい決断だけれど

 

3月19日は

魔法が解ける日

謎が明かされる日

私の決断を天使に告げる日

そして

私の運命が決まる日になる……

 

明後日が

その3月19日だ

 

以上の詩には「天使」「スワン」「ホワイトエンジェル」といった特殊な言葉が出てきたので、当惑される方もおられるでしょう。

 

以下の詩について「天使」「スワン」「ホワイトエンジェル」の意味について開示しておりますので、ご確認くださいませm(__)m

 

ホワイト・エンジェル~風花未来の詩50

 

以下は「天使」「スワン」「ホワイトエンジェル」が登場する詩です。

 

※時系列で古い順にご紹介します。

 

スワン~風花未来の詩20

 

天国からの使者~風花未来の詩21

 

天使ふたたび~風花未来の詩32

 

天使が消えた夜~風花未来の詩35

 

眠りの森~風花未来の詩36

 

不思議の国~風花未来の詩42

 

夜明けを待つ~風花未来の詩43

 

奇跡、天使とスワンが……~風花未来の詩45

 

ホワイト・エンジェル~風花未来の詩50

 

愛について、リルケの詩への回答~風花未来の詩51

 

天上界との交信~風花未来の詩53

 

魔法が解ける日~風花未来の詩62

 

神からの試練か~風花未来の詩63

黒澤明の映画「白痴」を初めて批判的に観た、私自身に驚いている

黒澤明監督の映画「白痴」を鑑賞。これまで何度か観てきているが、今回は今までとは異なる感想が私を訪れた。

 

黒澤明監督の映画「白痴」に関する過去記事はこちら

 

「白痴」はこちらで鑑賞できます

 

「白痴」は1951年に公開された日本映画。監督は黒澤明。

 

今回もドストエフスキーの世界に没入したが、今までで最も冷静に観れた。

 

2時間46分という長編映画。現在、抗がん剤の副作用もあって、長時間の緊張には無理があるので、途中休憩をはさんで最後まで鑑賞。

 

人間は完璧に純粋無垢、清廉潔白な人間はいない。だから、もともと純粋なるものを求める魂を持った人間は、「白痴」の主人公に、惹かれ、翻弄されてしまう。

 

「白痴」の主人公は、癲癇性白痴を患っている。

 

穢れなき魂への希求を、私も抱いている。もちろん、私は純粋無垢な人間ではない。

 

三船敏郎、森雅之(まさゆき)、原節子、久我良子のカルテットを中心に、物語は展開される。

 

現実社会との接点を持ち、社会と適合して生きられる素養があるのは、久我良子だけである。

 

結果、久我良子以外の人物は、すべて滅びてしまった。

 

今回強く感じたのは、三船敏郎、森雅之、原節子の三人、このうち一人でも幸せになったら、小説「白痴」は成立しないだろうことだ。

 

滅びなければ、悲劇「白痴」は成立しない。だが、しかし、である。

 

これまでの私、風花未来は、ドストエフスキーの小説「白痴」も、黒澤明監督の映画「白痴」も、ともに賞賛してきた。

 

しかし、今回は、それが違った。

 

だからといって、芸術作品である「白痴」を否定するつもりはない。

 

私は今、小説とか映画とか、そうした世界と、一線を画そうと、決別しようとしているのかもしれない。

 

現実より、芸術の方が大事だ、とは今の私は思わない。

 

かつての私は「芸術至上主義者」だったのかもしれないが、今は、明らかに違う。

 

なぜ、私は変わったのか?

 

それは、滅びたら、あかん、ということだ。

 

滅びの美学は、今の私は歓迎しない。いや、今までに一度も肯定したことがないし、これから滅びの美学からの誘惑は拒絶すると決めている。

 

私、風花未来が信じているのは「復活の美学」である。

 

一度は死に瀕した命が、灰の中から甦る姿ほど美しいものはない。

 

今回「白痴」を賞賛しないのは、私自身が芸術の中だけで生きようと思っていない、現実においても生き抜こうと決めているからであり、滅びたらお終いだと痛感しているからだ。

 

アルベール・カミュは「芸術は手段に過ぎない」と言った。

 

それも違う。

 

芸術も現実も、風花未来にとって一体なのだ。

 

天上界と地上界を往き来する天使のように、私は芸術と現実を自由に行き来したい。

 

芸術も現実も、天上界も地上界も、風花未来にとって、同じ「生きる場所」なのだ。

 

主人公が滅びなかったら「白痴」は成立しない。

 

しかし、今の私なら、ドストエフスキーが、黒澤明が、真に訴えたかったことを、主人公を滅ぼさなくても、表現できると思っている。

 

詩という芸術でも、現実のこの世でも「哀しみ、愛し、抗いながらも、滅びず、和らぎの世界を目指せる」、と風花未来は確信しているのだ。

 

哀しみ、愛し、抗いながらも、滅びず、和らぎの世界を目指せる」ことについて詳述したのが、以下のページである。

 

哀しみ、慈しみ、抗い、和する

 

というふうに、初めて私は「白痴」を否定的に鑑賞した。

 

だが、映画「白痴」は観るべきではないなどと言うつもりはない。

 

最初の30分は、本当に素晴らしいので、ぜひ観てほしい。

 

全体としては、会話で説明するシーンが多すぎて、黒澤明の悪癖が出ていて感心しなかった。

 

あら捜しをすればキリがないほどあるが、そういう細かいことを超えた、魂の叫びこそが、「白痴」の魅力である。

 

それにしても、三船敏郎と森雅之の演技は、空前絶後と言いたくなるほど、鬼気迫るものがあり、いくら絶賛してもし足りない。

映画「脅迫(おどし)」は三國連太郎と西村晃の演技力が際立つ隠れ名作

映画「脅迫(おどし)」を鑑賞。

 

これは紛れもない、隠れ名作だ。

 

映画「脅迫(おどし)」は、1966年に公開された日本映画。

 

映画「脅迫(おどし)」はこちらで鑑賞可能です

 

監督は深作欣二。主演は三國連太郎、その圧倒的な演技力と存在感は、凄みさえ覚えるだろう。

 

西村晃も、その芸達者ぶりを存分に発揮している。

 

この三國連太郎と西村晃の表情を見ているだけで、映画の奥深さを感じ取れる。

 

その他の出演者も、質の高い演技を見せてくれる。

 

主なキャスト

 

三國連太郎
西村晃
春川ますみ
三津田健
保積ペペ
室田日出男

 

モノクロームの映像も迫力充分だ。大胆なアングルが連発される白黒映像は、異様なまでのリアリティを生んでいる。

 

深作欣二監督の手腕が、冴えている。深作欣二の代表作として、再評価されるべきだろう。