今日の風花未来の詩は「お守りをくれた少女」です。

 

お守りをくれた少女

 

コンビニで

カフェラテを注文している時

ポンと肩をたたかれたので

振り向くと

少女が手を振っていた

 

眼と眼が合った

黒い瞳に見覚えがあった

 

久しぶりだし

お互いにマスクをしいたが

すぐに

あの時のことを想い出した

 

白い袋の入った

お守りをくれた少女だ

 

少女といっても

高校生

いや 今は

大学の一年生

 

なぜ 私に

健康祈願の

お守りをくれたのだろうか

 

私は何も言っていないが

体が弱いことを

察したからだろうか

 

ありがとう

でも、なぜ?

 

私がそうきくと

 

いつも

ありがとって

言ってくれるから

 

そう答えて

微笑んだ

 

意外な返答に

戸惑ったが

なんだか無性に

嬉しかった

 

あれから

もう2年以上が経つ

 

店が忙しく

交わしたのは

一瞬のアイコンタクトだけ

たわいもない

無邪気な話も

できないばかりか

あいさつの言葉も

かけられなかった

 

いつも店内で飲むのに

なぜか そうせず

カフェラテを持ったまま

私は外に出た

 

陽ざしはなく

風が強い

だが

コンビニに入る前の

沁み入るような寒さは

どこかに消え去っていた